『バイオハザード』

 今月の1本目は、人気ゲームの映画化作品だ。既にミラ・ジョボビッチ主演でシリーズ化されているが、それとは繋がりはない。ホラー、アクション、サバイバルの三要素を盛り込んだゲーム原作に対し、ミラ版はシリーズを追うごとにアクション色が強くなり過ぎて、ホラーとしての恐怖はほとんど消失していった。それに対して本作は、かなりホラーに寄せている。

『バイオハザード』

 大きいのは、ミラ版に比べて主人公の戦闘能力が低いことだろう。あくまでも一般の配達員という設定で、病院で預かった謎の箱をラクーンシティの研究施設に届けることになったため、ゾンビのパンデミック事故に巻き込まれてしまうのだ。基本的には無力で逃げ惑うしかないため、襲いくるゾンビたちとの対峙や、さまざまに仕組まれた危機の数々に対して恐怖感が高まることになった。

 また、ザック・クレッガー監督の恐怖演出も冴えている。前作『WEAPONS/ウェポンズ』と同様に不穏感の表現が抜群で、暗闇の中でパトカーのサイレンランプに照らされる照明などを効果的に使い、ゾンビが出ない場面でも「何かが起きそうな空気」を醸成し、たまらない緊迫感を作り出していく。それでいて、これも前作と同様にシュールなブラックジョーク的な描写も程よいタイミングで入っているため、これがうまく緩急として作用して飽きが来ない。

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 物語の構成は、次々とやってくる危機的なシチュエーションを一つ一つクリアしながら進んでいくという、完全にゲームを意識したものになっている。一つ間違うと味気なくなりそうなのだが、ここで効いてくるのが主人公の設定。直情的でおっちょこちょいなため、「そんなことしなければ、もっと簡単にクリアできたのに!」と思わず言いたくなってきて、下手なゲーム実況動画を観ているようなハラハラした臨場感が生まれ、かえって引き込まれていくのだ。

 使う武器が徐々に強化されていく過程が自然に描かれていたり、思わぬ一手でゾンビ軍団を一網打尽にしたり、原作ゲームが好きな方も思わずニンマリするような描写もふんだんにちりばめられているのも嬉しい。そして待ち受ける、驚愕のラスト――。

 ゲームの映画化作品として、極めて完成度の高い一本といえるだろう。

『バイオハザード』
監督・脚本:ザック・クレッガー/出演:オースティン・エイブラムス、ザック・チェリー、カーリー・レイス、ポール・ウォルター・ハウザー/2026年/95分/アメリカ/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/10月9日よりロードショー