自分の意思とは関係なく体の一部分が動く「運動チック」や、声や音を出してしまう「音声チック」が頻繁にみられる神経の病気・トゥレット症。現時点では治療で症状を完全に消失させることは難しいとされている。そんな症状を抱えながら、前向きに生きる棈松怜音(あべまつ・れおん)さん(31)に3回にわたり、お話をうかがった。
第1回は、トゥレット症を発症した幼少期から、16歳で単身沖縄へ……。家族との葛藤や学校でのつまずきを経て、自ら居場所を求めた10代から20歳前後の歩みをたどった。
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「世界で一人だけ変なクセを持ってるんだ」と思い詰めた子ども時代
――棈松さんのことはCBCドキュメンタリーを見て「トゥレット症を抱えたUber Eatsの配達員」として初めて知りました。
棈松怜音さん(以下、棈松) あの取材を受けたのは3年くらい前です。「自分の病気を世の中に発信したい」と考えるようになった時期ではあったんですけど、同じCBCドキュメンタリーチャンネルの中で、ある病気の方を取り上げた回は500万回再生もされていて「こういうふうになるかもしれません」って言われて「え、大丈夫なのかな?」って戸惑う気持ちもありました。
――トゥレット症を発症したのはいつ頃でしょうか?
棈松 おそらくチック症状が出始めたのは、小学校2、3年生くらいですかね。自分でも「あれ?」って感じでした。目をパチパチとしたりとか、本当に小さいものから始まって。小学校低学年の頃は、新しい症状が出ては、いつの間にか消えて、また新しいのが出てきて……思い出せないくらいいろいろ出てました。
そのときは「自分は世界で一人だけ変なクセを持ってるんだ」と思ってて。病気ってことすらわからないし、全く対応できなかったです。
――その頃お父さんに注意されたとか。
棈松 「それやめられるか?」「それなんだ?」って言われて。だけど自分でもわからないから「クセなんだよ」って返ししかできなくて。同級生にも「何?」って聞かれるのがめちゃくちゃ嫌でした。指摘されるのも嫌だし、何なのかも答えられないし。
――子どもの頃そんな状況になって、性格的に影響を受けましたか?
棈松 正直言うとひねくれますね。症状が原因で大きなトラブルにもなるので。自分でも症状が出るのを止められない。でもジロジロ見られるじゃないですか。「もう、見ないでよ!」って思うときもあるし。
今でも大きな声が出て他の人を怖がらせてしまったときには、やっぱり何とも言えない気持ちになります。夜道で、女性がギャーって逃げたりして。でも「すいません、ちょっとこういう病気で、声が出ちゃうんです」って追いかけて説明するわけにもいかないし。
――じゃあ子どもの頃からずっとそういう感覚で。
棈松 症状の変化はあれど、ずっとそうです。トゥレット症は神経発達症の一種で、ほかの発達障がいを併せ持っている方も多いんですけど、僕はその傾向がうすくて“トゥレット症の症状オンリー”みたいな珍しいタイプなんです。

