自分の意思とは関係なく体の一部分が動く「運動チック」や、声や音を出してしまう「音声チック」が頻繁にみられる神経の病気・トゥレット症。現時点では治療で症状を完全に消失させることは難しいとされている。そんな症状を抱えながら、前向きに生きる棈松怜音(あべまつ・れおん)さん(31)に3回にわたり、お話をうかがった。
第3回は、棈松さんの新たな挑戦や、トゥレット症と社会との関わりについてのお話。
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飲食店出店、石川県の炊き出し…「何かしたい」という止まらない思い
――今、ご自身でお店もやってるんですね。
棈松怜音さん(以下、棈松) 名古屋で今、油そばとか丼とかのデリバリー専門の飲食店をやってます。沖縄にいたとき居酒屋で料理長をしてたんですけど、そのとき一緒に働いていた10年来の付き合いがある人がスタッフに入ってて、今はお店をほとんど任せています。ただ、採算がなかなか合わないんで、その店を残すかは迷ってます。
――ビジネスマンなんですね。若い頃からずっと働いてきて、お金には困ってきてない感じでしょうか?
棈松 ずっとめっちゃ困ってきてます。ガッツリ働くけど、経験に投資することが多くて、手元に残らないです。
――トゥレット症を抱えているからこそ、自ら経営する側になっていった感じですか。
棈松 そこは関係ないかもしれないです。「何かしたい」という思いはずっとあって。
本当にいろいろやってきました。石川県の炊き出しにも15回以上行って、大量に食事を配りました。社会に迷惑をかけてる分、どこかで恩返ししなきゃっていう気持ちもあります。「償い」みたいなものもあるし、承認欲求もある。俺は何かしら挑戦する人生というか、挑戦しては問題を抱えて疲れ果てちゃって。それを繰り返して……ずっとバカなんです(笑)。
今もタコライスの店をフランチャイズでやろうかなとか考えています。「人生トータルの幸福を考えたら、どういうことをしていくのがいいのかな」って考え続けていて。トゥレットの人たちが働ける場所も作りたいと思っていて「絶叫居酒屋あいよ」っていう店の構想もあります。
メディアに出るようになってから「将来何がしたいですか?」「夢は何ですか?」って毎回聞かれるんですよ。そこでいつも「店をやりたいです」って答えていたんですけど、何度も聞かれるうちに、自分も後押しされた部分もあります。でも、まだ自分が思い描いてるところには行けてないんですよね。

