トゥレット症の説明をすることで、生まれるコミュニケーションもある

――理不尽な人って、何言っても響かないですよね。でも毎回説明しなきゃいけないのは、結構負担ですよね。

棈松 負担ではあるけど、そこで生まれるコミュニケーションもあるんです。「さっきは怖がらせちゃってごめんね、病気なんだよね」とか言ったら「あっそうだったんだ」とか「いやー全然大丈夫だよ。でも何で声出してるのかなって気になってた」とか返してもらえたりして。そういう会話が生まれること自体は自然だし、結構好きなんで。

©︎文藝春秋

 ときには、酔っ払った学生集団が真似してきたりすることもあります。「真似してた?」って言いに行くと「し、してないですよっ!!」ってビビってる。基本的に一対一で絡んでくるヤツはいないです。仲間がいるからって、気が大きくなってる。

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 別に俺だって、喧嘩したいわけじゃないですよ。だから、そこでなんか話できればいいし。病気だってわからないまま真似してくる小さい子がいるときも、やっぱりちゃんと話しに行く。単純に病気のことっていうか、自分のプライドでもあるんですよ。

――最近は、トゥレット症って少し知られるようになってきましたよね。

棈松 うーん。本当に最近でしかないですね。以前は「いやいや、そんな病気ないから!」って平気で言われることもあって、めっちゃ悔しかったですよ。

――たとえば食物アレルギーもそうですね。存在そのものが理解されてなかった。

棈松 だって学校の先生も知らなかったですから。でも幼少期にチック症状がある子って割と多くて「クラスに1人はいる」くらいのレベル。だから僕は、チックって脳が発達していく過程で起きるバグみたいなものなのかな、と感じてて。

「人がいる」「うるさくしちゃいけない」と思うと現れる症状

――今ではノドがチックに耐えられず声が出なくなった状況は解消したんでしょうか?

棈松 さすがに耐性がつくみたいで、今は出ます。だからトゥレットの人って声量がある人が多いですよ。昨日トゥレットの人ばっかりでカラオケに行ったんですけど、みんな歌も上手だし、声も出ますね。

――歌ってるときはチックが出ないとかありますか?

棈松 出ないですね。何かに集中してるときは出づらいかもしれないです。やっぱり、チックが出ちゃうのを意識すると良くないですね。

――緊張もチックの出やすさに影響しますか?

棈松 します。僕は家にいる時は全然チック出ないんですよ。一歩、家から外に出て、目から情報が入ってきて「人がいる」「うるさくしちゃいけない」と思うと、我慢できなくなる。多分そういう意識がトリガーになっているんです。だから外でも目を塞ぐとチックが減りますね。