バイクで出掛け、着いた先で働いて…全県を旅して見つけた自由
――刺激がなければあまり出ないんですね。チックがあっても、バイクの運転は問題なく?
棈松 運動チックがあんまり出ないので、僕は問題なくできます。名古屋から仙台まで下道を通って1日で行ったりして、20時間くらい運転することもありますよ。
北は仙台、福島ぐらいから南は沖縄まで全県バイクで走ってます。エリア展開している場所だったらUberの仕事はどこの県でもできて、市街地でオンラインにするとその土地の仕事が入ってくる。「今日はここで夜ご飯食べたいから、そのお金だけ稼ごう」とか、 Uberはそういう働き方ができるんです。
――その働き方ができるのは便利ですね。
棈松 昔だったら旅に出るとなったら、まとまったお金を稼いでから旅してましたけど、今はそんな自由度の高い旅もできる。Uberだったら行く土地土地で店も変わるし、お客さんの感じも変わる。そういう人と触れ合える接点が生まれるのも嬉しいですね。
――電車はあまり乗らないですか?
棈松 乗りますけど、迷惑はかかるかな。新幹線だったら寝てればいい。僕は寝てればチックが出ないので。
――周りの反応が気になるから、外出するときはイヤホンをされてるとか。
棈松 はい、それでいつも音楽を流してます。音楽はすごく好きですね。どんなジャンルでも聴きます。音楽はずっと心の支えでもありました。
――チックが出ることで、今まで諦めたこともありますか?
棈松 旅行が好きなんで海外に行きたかったけど、長時間飛行機に乗れないんじゃないかって、避けてきましたね。でもそろそろ行ってもいいかなと思ってます。パスポートも取ってるんです。海外を旅行して、もっといろんなものを見たいです。
日本も安全で清潔な国ではあるんですけど、それぞれの文化とか、きれいなものを海外まで見に行きたい。日本人が忘れてしまったものをまだ持っている国の人たちもいるし。そういうのってやっぱり貴重ですね。
◆
バイクの旅やUber配達員としての活躍で、暗黒期を脱した棈松さん。つづく第3回は、棈松さんの新たな挑戦や、トゥレット症と社会との関わりをたどる。
撮影=細田忠/文藝春秋
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。
