早い段階で「他力」を借りるのは、決して無責任なことではありません。それは、介護の専門家たちを守り、社会全体で高齢者を支えていくための、賢い選択です。
親が介護サービスに拒否感を持つ場合は…
「親はプライドが高く、介護サービスに強い拒否感を持っています。将来もデイサービスなどには絶対に行きたくないと言い張っているのですが……」
介護前夜の子ども世代から、こうした悩みが多く寄せられます。今はまだ元気で、車の運転もこなし、自由に何でもできる。そんな親にとって「介護を受ける自分」を想像できないのは、ある意味で当然のことです。誰だって「ピンピンコロリ」が理想であり、自分が老いていく姿など認めたくはないものです。
ただし、現実には、理想通りの最期を迎えられる人は限られています。80代にもなれば、多くの人が何らかの形で介護サービスを利用して生活しています。親と子、それぞれが自立した生活を続けていくためには、制度とサービスを適切に活用することが欠かせません。
親の発言に振り回されるあまり「本人が嫌がるからサービスは使わない」と決めれば、介護のすべてを子が担うことになりかねません。これまで見てきた数々の事例からもわかる通り、家族だけで介護を完結させるのは、並大抵のことではありません。
一般的に、プライドの高い親は「子どもに下の世話までさせるのは忍びない」と考える傾向が強いものです。今は「受けない」と言っていても、いざ体力が衰え、日常に不便を感じるようになれば「仕方がないからプロに委ねよう」と心変わりすることも少なくありません。
「家で死にたい」「施設には入りたくない」といった言葉は、あくまでもその時点での気持ち。病気や衰えの中で、人の考えは変化します。その言葉を固い約束のように受け止める必要はないと思います。
制度利用の話し合いは、お互いの「自立」を前提にする
親の老いに向き合うとき、私たちにできることは、本人の意向を尊重しつつも、「お互いの生活をどう守り抜くか」という方法を探ることです。もし親子で建設的な話し合いができる状態なら、納得がいくまで対話を重ねてください。
しかし、親が頑なに話し合いを拒む場合、「家族だけで介護を抱え込むことはできない」という事実は、毅然と伝えておく必要があります。