名前に「ちゃん」をつけて呼ぶのはハラスメントになるのか。セクハラというと身体的な接触を思い浮かべがちだが、呼び方ひとつで法的問題になりうるケースも……。

 職場でのハラスメントの“境界線”を、弁護士・佐々木亮氏が著書『職場のトラブル即解決!あなたを守る労働法』(徳間書店)で具体的な事例をもとに解説する。(全4本の4本目)

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トラブルケース1:宴席でのセクハラを訴えたい

 会社の宴会で上司に体を触られ、不快な思いをしました。翌日、謝罪を求めると「酔っていたので覚えていない」と言われました。どうすればいいでしょうか? 

解決策1:被害者自身が客観的な証拠を提出すれば裁判ができる

 セクハラの事実を証明するには被害者自身が客観的な証拠を集めなければなりません。もし、その場に第三者がいて、セクハラを目撃、証言してくれれば証拠になります。しかし、二人で個室で会食して、セクハラ被害に遭ったとしたら、立証はなかなか困難になるでしょう。裁判で訴えても、加害者に「覚えていない」と言われてしまうと事実を客観的に立証できないからです。

 また、自分自身の確かな記憶に基づいて訴えても、証拠が記憶だけだと敗訴になってしまいます。裁判はあくまでも客観的な証拠に基づいて判決を下すからです。

 第三者がいない場合、加害者が謝罪するまで問い詰め、その過程を録音していれば後日、客観的な証拠として使えます。

トラブルケース2:ボディタッチが不快

 毎朝、上司から「おはよう」と言われて肩をポンと叩かれます。また、「お疲れ様」と言われ肩に手を置かれたこともあります。それがイヤなのですが、このくらいではセクハラといえないでしょうか?

写真はイメージ ©︎Zoey/イメージマート

解決策2:相手に不快感を与えるボディタッチはセクハラになる

 性的な感情を持たず、軽い気持ちで肩を叩いたり、肩を揉むなどして体に触れても、ボディタッチされた本人が不快感を抱けばセクハラになります。ただ、100%セクハラになるかといえばそうとはいえません。

 たとえば呼んでも答えがないというような場合、注意喚起のためにトントンと肩を叩くなどはセクハラにはならない可能性もあります。

 手相を見ると言って女性の手を触り、セクハラ認定された事例があります。手相を口実に手を握ったというのであればセクハラです。

 相手との信頼関係があり、体に触れられても、不快感を抱かなければセクハラにはなりません。

 ボディタッチは男性から女性だけでなく、女性から男性、女性同士、男性同士でも、セクハラが成立します。