入園者数を3倍にした「温故知新」の経営学

 西社長がラクテンチの経営で大切にしているのが、「温故知新」という考え方だ。

「『古いだけ』と、『歴史がある』ことは違います。変えるべきものは変える。でも、残すべきものは残して、新しさとうまく融合させていきたいんです」

 その考えは、西社長自身の思い出にも向けられている。子どもの頃、ラクテンチを訪れると真っ先に駆けていくほど好きだったゴーカートは、経営を引き継いだ時には、自動でコースを一周する電動カートに替わっていた。そこでコースを舗装し直し、自分でアクセル、ブレーキを使いながら運転できるゴーカートを復活させた。子どもの頃、父親とゴーカートに乗った写真を眺めながら、西社長は照れくさそうに話す。

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「息子と乗って、同じような写真を撮りたいんです。でも、『社長が自分で乗りたかっただけやん』と思われるのも恥ずかしくて、まだ言い出せていません」

父親と並んでゴーカートに乗る、幼少期の西社長(写真:別府ケーブルラクテンチ)
山の地形を生かしたコースは、変化に富んだアップダウンも魅力。迫力あるエンジン音と車体に伝わる振動が走る楽しさを盛り上げる
ジェットコースターのレールの基本部分は、1972(昭和47)年の登場当時のまま。レトロな走行音を響かせながら園内を駆け抜ける

 母親から聞いていた、桜の名所としてのラクテンチも取り戻した。切られていた夜間営業用の配線を一から敷き直して園内に再び明かりを灯し、夜桜を楽しむ桜祭りを復活させた。

園内では四季折々の花が楽しめる。なかでもおよそ3000本の桜が満開を迎える春の景色は圧巻(写真:別府ケーブルラクテンチ)

 1956(昭和31)年に建てられた演芸場も、一時は、ガラスが割れて猿が入り込むほど荒れていたが、建て替えではなく、昭和の面影を残して改修。再び地域の学校や団体が舞台に立つ場所となった。