トイレで昼食を食べた孤独な高校生活

 一方、高校生活は華やかなものではなかった。芸能科のある高校へ転校した松岡だったが、「転校を機に、孤高のキャラを気取ってみたら、ただの“ぼっち”になってしまって」と振り返る(anan web 2017年1月25日)。

 体育ではストレッチを組む相手が見つからず、昼食をトイレや階段で食べることもあった。教室で面白いことがあっても、“孤高の人物”を演じている手前、笑うことさえできなかった。

 そんな孤独な日々が終わりを告げたのは高校3年の夏。同級生の百田夏菜子と朝日奈央が文化祭の準備中にゴリラの真似をしてふざけている姿を見て、我慢できずに笑ってしまった。「松岡さんって笑うんだ?」と驚かれたことをきっかけに、ようやく友人ができたという。

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高校時代、同級生の朝日奈央(左)と(松岡茉優のインスタグラム〔@mayu_matsuoka_koushiki〕より)

俳優として生きていくと決意した瞬間

 俳優として生きていこうと決意したのは高校1年の春のこと。

『おはスタ』で山寺の活躍ぶりに刺激を受けた松岡は、司会者や声優などさまざまな夢を抱くようになっていた。しかし、改めて芝居と向き合い、自分が本当は芝居を好きなのだと認めるようになる。

「私はあることをきっかけに、俳優を目指すことを決めた。簡単にいえば、お芝居が好きだという自分を認められるきっかけがあったのだ。苦手と思い込んで、好きという気持ちに蓋をしていたことに気がついてからは、自分の下手さと向き合うことができた」(前出『ほんまつ』)

2016年撮影 ©文藝春秋

 きっかけは、ボイスメモだった。高校時代の松岡は孤独な日々を送っていたと先に書いたが、この頃の日課がパソコンのボイスメモに一日の出来事を吹き込むことだった。ある日、通い続けていた演技のレッスンについて一人で話しているうちに、自分が芝居について熱心に語っていることに気づいた。

 女優をやろうと決意してからは、それまでほとんど読まなかった本を読み、映画を見るようになり、人を観察するようになった。芝居を学ぶことが、世界や人間を知ることへと広がっていったのである。

 そして、ついに女優・松岡茉優の名を多くの人に知らしめる作品と出会う。『桐島、部活やめるってよ』だ。(つづく)

次の記事に続く 「カメラが止まるとすごく苦しそう」「人生これだけって思ってない?」ベテラン俳優に言われ…8歳で芸能界に入った松岡茉優(31)がブレイク後に“引退を考えた”理由

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