さて、もうすぐドラフト会議が行われますね。今年も、育成選手を含めると120人ほどのプロ野球選手が誕生するんですね。非常に楽しみです。

 僕の時は高校生ドラフトと大学・社会人ドラフトが別で行われました。4球団がマー君を指名、マエケン一本釣りの広島、坂本は巨人に外れ1位で指名されるドラフトでしたね。この年、33人が指名され、僕は32人目。ドラフト当日、学校の視聴覚室で待機しておりました。指名を受けた時のために集まった報道陣の方々が30名ほど。様子を見にきた同級生が20人ほど。ドラフト会議が始まって、僕が指名されるまでに確か3時間半ほどかかったので、この時間の長さたるや、です。僕は指名されることを諦めていましたから、(本日はお忙しい中お集まりいただき……)という感じで、頭の中で敗戦の弁をずっと復唱していました。そんな中、スクリーンに映ります。

選択希望選手
4巡目
高森勇気
捕手
中京高校

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 多分あの瞬間、脳内のなんらかの物質が6年分出ました。僕が何の結果も出せず6年でクビになったのは、あの時に成分が流出してしまったためだろうと、今気がつきました。

 さて、この後にいろんな業者から「母校に寄付はいかがですか?」というパンフレットが送られてきたり、親戚が増えたり、学校の売店で並んでいたら先頭にしてくれたり、という面白そうな話はまた別の機会にするとして、今回は知られざる寮生活をご紹介します(気になる方は、11月20日に行われるイベント「文春野球AWARDS2018」に来てください。僕も出るかもしれませんよ)。

(前列左から)北篤、佐々木邦昭球団社長、大矢明彦監督、高崎健太郎。(後列左から)筆者・高森勇気、梶谷隆幸、下園辰哉、下窪陽介、吉原道臣

超快適だった寮生活の思い出

 ベイスターズの寮は、2019年夏をもって追浜にある横須賀スタジアムの横に移設されるそうです。なので、今年のドラフトで指名される選手にとっては、新築物件ですね。長浦港に面している現在の寮および練習施設は、1987年から使用されているそうなので、築31年。石川雄洋さんと同級生です。

 1月10日、大荷物とともに入寮しました。6畳1間にクローゼット付き。備え付けのベッドの他には何も置いていない部屋でしたが、まず「1人部屋」という状況に天まで登るほど嬉しい気分。高校時代、4人1部屋で、2段ベッド2つに荷物をかろうじて置くスペースが少しある部屋で3年間暮らしていたので、どんな環境であろうと1人部屋は天国です。しかも、ここはプロ野球の施設。1階の食堂に降りれば、常時カレーライスや菓子パン、野菜ジュース、ヨーグルトなどが充実しており、お風呂はサウナ、水風呂付き。洗濯機や乾燥機の取り合いもしなくていい上に、そもそもユニフォームは洗ってもらえる! 深夜、ひたすら風呂場でユニフォームをこすり洗いしていたのが懐かしい。100人の寮生活を3年間していたベテランからすると、“超快適な寮”が、第一印象でした。

 目の前に自衛隊横須賀基地があり、部屋の窓を開けると、数メートル先に自衛隊の船が停泊しています。毎朝8時と、日の入り時刻に国旗掲揚と国旗降納があり、隊員は船の上に整列しラッパの演奏が鳴り止むまで数分間敬礼姿勢です。なので、休みの日にゆっくり寝たくても、朝8時には必ず起こされます。なんせ、数メートル先でラッパを鳴らされるので起きないわけがありません。そうそう、窓は東に面していてしかも海なので、朝日は毎日水平線から上がります。これは見事ですが、同じくゆっくり寝たいときは眩しくて仕方ない。遮光カーテンは必須ですが、音は遮断できません。結局8時に起きます。そんな寮でした。