PISAは、点数を国と国とで比べる。それによって、国家的課題として「読解」がフィーチャーされるようになった。そして基本的に3年おきに実施されるPISAの結果が発表されるたび、新聞やテレビが大々的に取り上げる。

 この本の最終工程、もうほぼ修正できないというタイミングの2026年9月8日夕方にPISA2025の結果が発表されたので日本の読解ランキングが何位だったのかだけ言及しておくが、OECD加盟国内で1位、全参加国中では4位だった。

順位が下がれば大げさに

 マスコミの常として、順位が下がったときにだけ大げさに報道し、上がった年には軽く触れておしまいにする。そのため多くのひとが「子どもの読解力、国語力が下がり続けている」と誤解している。冷静に順位とスコアの変動を見ると「回によって上がり下がりはしているが、おおむね上位圏」というのが日本の15歳の読解リテラシーの実態だ(なお、この本ではPISAに関しては「読解力」ではなく「読解リテラシー」と呼称する)。

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 また、のちのちくわしく書いていくが、下がった場合でも、「同じような試験なのに下がった」のか、「試験内容がそもそも変わって下がった」のか、2パターンある。どちらなのかによって今後の見方も取るべき対策も変わってくる。上がったか下がったかだけ見て思いつきで意見を言っても、あまり生産的な話にはならない。

 この本では「ちょっと冷静にとらえてみませんか」というスタンスで読解力に関する騒動、報道、俗説を検証したうえで、最後に読解力の向上方法について示していく。

 私たちは「読解力が落ちている」「今の子どもは教科書すらまともに読めない」などと煽られると、不安からそういう言論に飛びついてしまう。なぜなら、危機の感知能力が低い生きものは淘汰されてきた歴史があるからだ。人間は、ネガティブニュースに敏感に反応するようにできている。

 私も本を売りたいだけなら「読解力低下で国が滅ぶ」「国語教育は崩壊している」などと書くほうがよほど注目を集められる。