26年1月の取材時、戸井口氏はマンション建設現場で、所長を支える次席を務めていた。工程の管理などを担う。
工程管理は、図面を確認して工程表を作成するところから始まる。実際に工事が始まれば、資材搬入の遅れなどで、前後の工程にずれが生じることもある。その都度段取りを組み替え、工期と安全の両方を守る。
戸井口氏は、「図面を見ながら完成形を想像するのが何より楽しい。完成した建物を街で見つけると、これをつくったんだよと家族に話せるのが何よりのやりがいだ」と胸を張る。
保育士やブライダル業界で培ったコミュニケーションスキルが生きる
保育士やブライダル業界で働いた経験も生きている。特にコミュニケーション能力は重要だ。現場で職人に接するときにはいきなり業務の話に入らず、仕事以外の話題から入って距離を縮める。そうやって相手の置かれた状況を察し、仕事が滞らないよう先回りして段取りを組む。「建設現場の仕事というと体力勝負という印象が強いが、実際は調整や説明が多い。話すのが好きな人にも向いている」と強調する。
現場によって差はあるが、午後6時台に業務を終えることもある。前職では土日に働くことも多かったが、転職後は土日休みが基本になり、休日には趣味のテニス大会にも参加できるようになった。
会社側のフォローも手厚い。未経験者が現場で戸惑わないよう、全国にある研修拠点で事前にハーネスの装着など基本動作を体験させ、慣れさせる。派遣後は専任担当者による定期的な電話や現場訪問で、悩みや不安を吸い上げる。戸井口氏は、新しく着任した担当者と最初に1時間、たっぷりと話したと振り返る。
こうして育った派遣技術者は、建設会社にとって欠かせない戦力になりつつある。特に施工管理では人材が足りず、仕事を受けられないケースもある。未経験から入った戸井口氏だが、今では派遣先の新人技術者を教えることもある。
