「会社の看板を外したら、自分には何も残らないんじゃないか」――。33歳、年収約550万円のITベンチャー営業マンが選んだのは、飲食未経験からの「すし職人」への転身だった。「10年の下積み修行なんて遅すぎる」と約100万円を投じて短期集中スクールへ通い、わずか2年で東京・新宿に完全予約制のすし店を開業。2年目にして売上高7000万円、年収は約1500万円に跳ね上がったという。「飯炊き3年、握り8年」の常識を覆し、ITと営業のスキルで大繁盛店をつくり上げた異色の下克上とは。日経プレミアシリーズの新刊『ブルーカラー年収1000万円時代』より一部抜粋してお届けする。

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IT企業から転身してすし店を開業、2年で人気店に

 東京・新宿ですし店「すし日和」を営む清水和輝氏(37歳)は、2024年8月の開業からわずか2年で、人気店に育てた。

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 4年前まではIT(情報技術)企業に勤める会社員で、飲食業の経験はゼロ。そこからすし職人として腕を磨き、会社員時代に培った営業力やITの知識をすし店の経営に生かし、成功した。「すしを握る技術は(機械やロボットを自律的に動かす)フィジカルAIが進化しても、そう簡単には代替されない。しかし、ただ握るだけで高収入を得るのは難しい」(清水氏)

 清水氏の歩みを振り返ると、会社員からすし職人に転身して成功する条件が見えてくる。

 清水氏は真剣な表情で、仕入れた魚を切りつけ、慣れた手つきで一貫ずつ握っていく。店には正社員5人とアルバイト1人が在籍するが、清水氏自身も週5日、カウンターに立つ。

写真はイメージ ©AFLO

 おまかせコースは約1万2000円で、高級店と大衆店の中間に位置する価格帯だという。ネタの良さに加え、客の好みに応じたきめ細かな接客で、価格以上の満足感を生み出すことを目指す。

 24年8月開業、初年度の売上高は約4200万円。開業2年目の売上高は7000万円を見込む。清水氏の収入は、会社員時代から大幅に増え、年収は約1500万円に達する見通しだという。