100万円ですし職人育成校へ 「お金で時間を買って修行期間を短縮」

 清水氏は22年8月末、33歳でITベンチャーを退職した。翌9月、すしの基礎技術を教える東京すしアカデミー(東京・新宿)に入校し、約2カ月の「集中特訓コース」で魚のさばき方や仕込みなどを学んだ。受講料に加えて包丁などの道具代もかかり、合計100万円弱を貯金から投じた。

 最初に掲げた目標は、「3年以内に自分の店を持つこと」だった。

 清水氏が当時調べたところによると、すし職人になる道としては、有名店で修業を経て独立するというのが、かつては一般的だった。多くは10代で働き始め、30代、40代で独立する。若者が給料を得ながら修業できるのはメリットかもしれないが、すでに33歳になっていた清水氏が同じ道をたどれば、自分の店を持つときには40代。それは遅過ぎる。

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「お金で時間を買って、修業期間を短縮した方がいい」と考え、東京すしアカデミーを選んだ。

 卒業後は、まず「間借り営業」をした。

 間借り営業とは、既存の飲食店が営業していない空き時間に店舗を借り、実験的に別の店を営業すること。清水氏は間借りしたい店の条件を考え、それに合う飲食店を探した。これぞという店を見つけると飛び込み、全く面識のない店主に「店を貸してほしい」と交渉した。

間借り営業をしながら、「握るトレーニング」のためすし店勤務も

 実際に間借り営業を始めたのは、22年12月。東京すしアカデミーの卒業からわずか2カ月後だった。

 間借り営業を選んだのも、独立までの時間を縮めたかったからだ。間借りなら初期費用を抑えながら、実際の営業を体験できる。その過程で、集客や価格設定、原価管理などの勘所も身に付く。

 練習の意味合いが強かったので、当初はコースをほぼ原価の5000円程度で提供した。集客にはX(旧ツイッター)を使い、すしに関心のありそうな人を見つけると一人ずつフォローした。その中から、面識のない客も来店するようになった。