目の前には地獄絵図が広がっていた
ふたりはすぐさま車の中で、ジョニーの右手に、できる限りの応急処置を施した(イギリス、アメリカ両方の裁判で、マルコムは、キッパー医師とデビーは家に来なかったと証言している。マルコムによれば、ジョニーを自分の滞在するホテルの部屋に連れて行き、キッパー医師とデビーもそこにやってきたとのこと。しかし、キッパー医師とデビーは邸宅の中に入ったと証言しており、この事件の直後に邸内で録音された音声にキッパー医師の声も入っているため、ここではこのバージョンにしておく)。
車中でジョニーの怪我の手当てをした後、キッパー医師とデビーは邸宅の中に足を踏み入れた。目の前には地獄絵図が広がっていた。
鏡や壁には落書きがあり、テレビ画面にはコーヒーがぶちまけられ、ヒビが入っている。エンタテインメントルームの卓球台は無惨に倒され、床一面には割れたガラスが飛び散り、ランプからはシェードが外れている。
クリーム色のカウチには鮮やかな血痕があり、窓ガラスは割られ、壁には赤ワインが撒き散らされていた。口紅で描かれた落書きもあり、ジョニーとアンバー、両方の仕業のようだ。
部屋に飾られている、ビキニを着た女性が胸元に手を当てている絵画には、局部にペニスが落書きされていたが、それがどちらの仕業なのかはわからない。
負傷の原因を問われたジョニーは…
病院の緊急治療室で、ジョニーは、負傷の原因について「ナイフで切った」と説明した。また映画の製作チームにも、騒動の詳細を明かさなかった。大きなニュースになってアンバーが非難されるのを避けたかったからだ。離婚の決意が頭をよぎっても、ジョニーはまだアンバーを守ろうとしたのである。
ジョニーがマルコムに連れ出された後、ジェリー・ジャッジとハウスマネージャーのベン・キングらは、切断されたジョニーの指先を探し、バーカウンターの真下の床に転がっているのをベンが発見した。指先は氷袋に入れられ、緊急治療室に送り届けられた。
その間、アンバーは邸宅内に留まり、激しく取り乱しながら、泣き続けていた。ジェリーは、ジョニーを守るためにアンバーをロサンゼルスに帰らせるべきだと確信した。
「あなたたちは距離を置いたほうがいい。電話で話すのはいいけれども、ジョニーをひとりにしてあげてください」