アンバーはかなり渋ったが、ついに納得し、観念したかのように荷造りを始めた。用意をしながらも、彼女はまだジェリーに愚痴る。
「彼から離れたくない。彼を失いたくない」
「彼が私を嫌っているのがとても嫌なの。私のせいで彼が怒るのが嫌。もう彼を取り戻すことはできないと思う」
ジェリーは、「いや、そうは思いませんよ」となだめた。そのうち、アンバーも少し正気を取り戻したのか、「私ってバカみたい。ここに全部持ってきたのよ。別便でも荷物を送ったのに。本当にバカだわ」とぼやくのだった。
ロサンゼルスへは、ハウスマネージャーのベン・キングが付き添うことになり、早速、翌日のファーストクラスのチケットが2枚手配された。
「全部ジョニーがやった」
ベンはその夜、何時間もかけて荒れ果てた邸宅の掃除をし、ホテルに戻ってわずかな睡眠を取ると、アンバーと一緒に空港に向かった。飛行機の中で、アンバーは隣に座っているベンに問いかけた。
「誰かに対してどうしようもなく怒って、完全にブチギレたことはある?」
穏やかな性格のベンが、「いえ、ありませんね」と答えると、その後のフライト中、アンバーは何も話しかけてこなかった。
その日、アンバーはノースリーブの服を着ており、両腕が露わになっていた。ロサンゼルス国際空港に到着した際、ベンは彼女の左腕に傷があることに気づき、
「袖を下ろしたほうがいいですよ」
と助言した。ジェリーもその傷を目にしていたが、アンバーが自分で作ったものだろうと判断していた。ペントハウスに戻ったアンバーは、友人のロッキーにその傷を見せ、
「酒を飲んでいたのを注意したら、ジョニーが怒ってウォッカのボトルを投げつけてきたの。それが粉々に割れてこんなふうになった」
と説明した。さらにロッキーはアンバーから荒れ果てた邸宅内の写真も見せられ、
「全部ジョニーがやった」
と聞かされた。ロッキーは、本気で友人の身を案じた。