面接では田口といろんな話で盛り上がり、これは行けるかなと思っていたら、別れ際に「お互いこの仕事を続けていると、またいつか会えるかもしれないですね」みたいなことを言われ、すっかり落ち込んでしまったという。

 それでも結果的に熱意を買われて出演がかなう。不安だった関西弁のセリフもこなし、主演で関西出身の渡辺大知が《関西弁、がんばってましたよね。どんどん上手くなっていくのがわかりました》と褒めるほどだった(『ダ・ヴィンチ』2009年9月号)。

「私がやるべき役だ」と強く思った作品

 主演映画『南瓜とマヨネーズ』(2017年)の原作である魚喃(なななん)キリコの同名マンガも、臼田はほかの魚喃作品とともに20歳をすぎたころに愛読していた。映画化に際して監督の冨永昌敬は主人公・ツチダのシルエットに似た女優を探しており、臼田に白羽の矢が立つ。彼女もオファーを受けてから原作を改めて読み返すと、「やりたい! 私がやるべき役だ」と強く思ったという(『CREA』2017年12月号)。

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映画『南瓜とマヨネーズ』(2017年)

 だが、諸事情により制作は延期され、なかなか再開できない状況が続く。このまま頓挫するのかと思われたころ、臼田は『色即ぜねれいしょん』で一緒だった甲斐真樹プロデューサーとたまたまプライベートで会う機会があり、その話をすると、甲斐は彼女の熱意に打たれて動いてくれ、4年越しで公開が決まった。

 公開時のインタビューで臼田は、プロデューサーに掛け合うほどこの作品を映画化したかった理由を訊かれ、次のように答えている。

《これほど執着した割には、私自身もはっきりしてなくて。ひとつ言えることは、ツチダに思い入れがあるというよりは、太賀[引用者注:現・仲野太賀]君が演じるツチダの彼氏〈せいいち〉をどうにかしてあげたかった。共感というよりは、私もせいちゃんをどうにかしてあげたいと手を差し伸べたくなったんだと思います》(「Numéro TOKYO」2017年10月27日配信)

 臼田がそう語るとおり、彼女の演じるツチダは、同棲しているバンドマンのせいいちが音楽に専念できるよう、生活費を稼ぐためキャバクラで働き始め、店で知り合った客と愛人契約を結んだりと危ない橋も渡る。

 劇中では、そんなツチダのせいいちに対する思いが、やがて空回りして葛藤するさまも含め、ヒリヒリと伝わってきた。それも、臼田が「せいいちを何とかしたい」という明確な動機をもって演じていたからだろう。(つづく)

次の記事に続く 《6歳下バンドマンとの離婚、事務所の“業務休止”も…》「いまだに緊張して眠れない」「うまく演じようって意識もない」臼田あさ美(42)が長く活躍し続けるワケ

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