承認欲求というより、「不承認欲求」

――お金の使い道も、若い頃とは変わりましたか。

立川 今は、子どもたちに少しは残さなきゃいけないとか、会社に置いておかなきゃいけないとか、そういうことを考えています。自分の欲しいものも、あまり買っていません。一番使っているのは、AIやAdobeのサブスクリプションかもしれないですね。

――ステージの衣装などは、どう選んでいるのでしょう。

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立川 周年の衣装までAmazonで買おうとして、マネージャーに怒られたくらいです(笑)。誰かに買い物に行こうと提案してもらっても、見ているうちに「いらないな」と思ってしまうんですよ。

 今売られているスーツの形が、あまり好きではなくて。ヴィンテージのスーツをメルカリや専門のお店のサイトで探して、買って直して着ています。今日着ているものも、そうです。

「お金がないわけじゃないんだから、作ればいいだろう」と言われるんですけど、わざわざ仕立てる気はないんですよね。

©釜谷洋史/文藝春秋

――立川さんには、「自分をよく見せたい」「注目されたい」という気持ちはあまりないのでしょうか。

立川 僕は承認欲求というより、「不承認欲求」なんです(笑)。「それが大事」で、もう十分に認めていただいたので。むしろ、自分のことは忘れてください、くらいに思っています。

 一度表に出てから「しまった、自分は表に出る人間ではなかった」と思っても、戻るのは大変なんです。今度は、忘れてもらうための作業をしていかなければいけないですからね。

作者が誰なのか知らなくても、作品がいろいろな人に届けばいい

――ご自身が注目されることより、作品を作ることに気持ちが向いているんですね。

立川 作品は作りたいんです。ちょっと大きな例えになりますけど、『星の王子さま』って、サン=テグジュペリが書いたと知らなくても、物語の素晴らしさは伝わるじゃないですか。作者が誰なのか知らなくても、その作品がいろいろな人に届けばいい。

 僕も、自分の作品がどこかで誰かの役に立てたらうれしいです。でも、「俺が作った」ということは、別になくていいんです。

©釜谷洋史/文藝春秋

――そんな立川さんは、これからどんなふうに音楽や日々の暮らしを楽しんでいきたいですか。

立川 ノープランです。浮草のように、行き当たりばったりでいこうかなと思っています。それより健康ですよね。日々を楽しく、ご飯をおいしく、人に優しく、という感じで過ごしていけたらいいですね。

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