通用しなくなった「魔法の方程式」
実は近年のマンション価格の高騰を演出してきた買い手の一角が不動産屋そのものだった。大手デベロッパーが分譲する新築タワマンを数戸から数十戸まとめ買いして転売する、中古マンションが売りに出されればこれを自らが買い取って転売する(買取転売)など、本来の仲介業務を離れてマンション転がしを行ってきた。
ところが中古マンション価格の伸びが止まり、下落に転じ始めるとこの「魔法の方程式」が通用しなくなる。マーケット価格で仕入れた物件を3か月くらいかけてリニューアルして再販するためには、物件価格が上昇を続けていることが大前提になるからだ。
購入心理を冷やす、相次ぐ日銀の利上げ
売れなくなった最大の原因が金利である。相次ぐ日銀の利上げは変動金利型住宅ローンを信奉してきた買い手側の購入心理を思い切り冷やしている。あわてて固定金利型住宅ローンに顔を向けても長期金利の指標とされる10年物日本国債の利回りは3%程度に急上昇した。インフレで生活物価が上がり、マンション管理費、修繕積立金の引上げが続く中で、購入客は減るばかりだ。
投資家が買ってはくれないか。買うわけがない。マンション価格が高騰を続けた結果、投資利回りは表面利回りで2%から3%台。金利が上昇基調にある中、金融機関からの調達レートも上昇。投資妙味が全くなくなってしまっている。
つまりキャピタルゲイン(売却益)が今までどおりに期待できる環境にはない中、新たな買い手が現れる可能性はなくなってしまったのだ。
永住をあきらめた外国人たちは…
唯一頼りになるはずの外国人はどうか。インバウンドマネーの主役だった中国人は中国政府による送金規制の強化、海外資産に対する規制の可能性の影響をもろに受けてほぼストップ状態にある。在留中国人の買いを期待できるものの、日本政府が永住許可要件を厳格化したことによって、将来の永住を前提に日本の不動産を買い求めていた多くの外国人(中国人に限らない)が永住をあきらめてマレーシアやタイなどに逃げようとむしろマンションの売り手に回っている。
買取物件をたくさん抱えた不動産業者が出口を求めてさまよっているさまがチラシの文句になっているのである。仲介手数料はいらない、価格も下げたので「買ってくれ」と叫んでいるのが今なのだ。
