TBSがオウム真理教に見せた坂本弁護士のインタビュー映像が事件のきっかけの1つに…
ただし、本件に関してはもうひとつ別の問題もある。それがTBSビデオ問題だ。
オウム真理教が坂本弁護士に対して害意を持った理由の1つに、TBSがオウム真理教に対して坂本弁護士のインタビュー映像を見せた可能性があったため、警察や東京地検はTBSに捜査への協力を要請した。しかしTBSは映像を見せた事実はないと否定している。そして1995年10月18日、TBSは東京地検から家宅捜索を受けることになる。
これを受けて、日本テレビは翌10月19日に昼のニュース番組「NNN昼のニュース」で、TBSが坂本弁護士のインタビュービデオをオウム幹部に見せたと報道。それに対してもTBSは真っ向から否定をした。
さらにTBSは、1996年3月11日に社内調査概要を発表し、あらためてインタビューを見せていないと主張する。
しかし後の捜査で、TBSに押しかけてインタビューテープを確認したオウム信者・早川紀代秀のメモ(早川メモ)が見つかり、早川メモの記述が坂本弁護士のインタビュー中に話した内容と合致していたことから、TBSがオウムにインタビューテープを見せたことの裏が取れてしまう。
これによりTBSが報道機関として取材源の秘匿義務を怠った点、プライバシーや人権への配慮、さらには問題発覚後の対応を含めた倫理や責任が問われることになる。
TBSは磯崎洋三社長や杉本明専務が辞任、常務役員の降格や減給、さらに番組の総合プロデューサーや曜日担当プロデューサーに懲戒解雇の処分を下す。そして1996年4月30日には、『視聴者の皆様へ』と題する謝罪番組と、『証言・坂本弁護士テープ問題から6年半―ビデオ問題検証特番』と題する検証番組を合計4時間弱にわたって生放送することになる。
坂本弁護士一家殺人事件より前にも、オウム真理教では信者殺害や、霊感商法や出家に関わるトラブルはあった。だが、教団の凶暴性がはじめて外部に向かったのが本件であったといえる。
そしてこの事件に際しては、メディアと報道、警察、さらには世間と、多くの人たちが対応を見誤った。犯行手口の残忍さもさることながら、後世に多大な課題を残し、社会に大きなインパクトを与えた重大事件なのである。
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