『それでも光に手を伸ばす』(Payao 著)

 SNSでの発信をきっかけに執筆を依頼される。本書はそんなSNS発の一冊。

 本書の担当編集者の林怜実さんは、新たな書き手発掘のため、日々、YouTube、X、Instagram、TikTok、Threads等を閲覧、多い日で16時間、少ない日でも10時間は費やすという。

「借り物でない、その人の内側から溢れ出たオリジナルの言葉でバズっている書き手に出会うために、とにかく多くのコンテンツにあたっています」(林さん)

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 本書は、こうして見出されたアーティスト、詩人である著者のエッセイ集。「生きづらさを抱える人の指針になるような本を」という思いから生まれた。押し付けがましくない、読み手にそっと寄り添うような文章の間には、著者撮影の抒情的なカラー写真と詩がいくつも挟み込まれている。

「著者の魅力は、いわゆる内向的な人たちが抱える諦念や痛みを丁寧に言語化し、さらに彼ら・彼女らがマイナスとしがちな自分の部分を『美しいもの』として捉え直すところです。たとえば他者にうまく言い返したり、反論できない人は『まず相手の気持ちを考えてしまう、優しい人なのだ』というように。著者が紡ぎ出す言葉のベースには、マイナスをゼロに、ゼロをプラスにする軽やかなポジティブさがあり、読者から評価されています」(林さん)

 10代から20代の女性を中心に大ヒット。その背景には著者のプロデュース力もあるという。あるとき著者が「本書はこういう人に読んでほしい」と、林さんにある人のSNSアカウントを提示、具体的なペルソナ(顧客像)を共有したことで、本書の方向性と戦略が定まった。

 SNS上で「拡散歓迎」のオープンなスタンスを打ち出し、気に入ったページはネットにあげてくださいと著者自ら表明。本文レイアウトはスマホの縦長画面に綺麗に収まるよう設計し、カバーデザインは書店で目立つことよりもペルソナのSNS画面に馴染むかどうかを重視。結果、心に残った本文の一節を朗読するインフルエンサーらの「口コミ」も手伝い、本書は届けたかった人たちの元に広く行き渡った。「救われた」「自分のための本だと思った」などの感想が多く寄せられているそう。

2025年11月発売。初版6000部。現在16刷15万部(電子含む)

それでも光に手を伸ばす

Payao

KADOKAWA

2025年11月26日 発売