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終末期医療に関する患者の訴えを軽視することへの憤り
八方ふさがりの絶望感が浮き彫りになる中で知り合ったのが大久保愉一医師だった。林さんとダイレクトメッセージのやり取りを重ね、仲間の医師と2人で林さんの自宅を訪れる。手書きのメモを見せながら安楽死の意思を確認する。
「本当に死にたいのですか?」
「今日でなくてはダメですか?」
薬物を使って林さんを死に至らしめた大久保医師は、別の殺人事件が発覚したことで、生命軽視の殺人鬼という印象で報じられた。しかし二村監督の見方は違う。大久保医師の10年間に及ぶTwitterの投稿2万件をすべて読んだ結果、患者優先に考えていたことが読み取れることを、映画公開前のインタビューで明らかにした。
「(大久保の投稿には)終末期の医療に関する患者の訴えに対し、家族や医師が主導権を握って辛い思いをさせているということに対する、憤りみたいなことが、臨床医の視点から延々と書き連ねてあるんです」
大久保医師よりもむしろ林さんの方が安楽死に積極的だったことが、メッセージのやりとりから読み取れるという。林さんは、身体のすべての機能が失われ外部に自分の意志を伝えられなくなっても意識だけが残る“閉じ込め状態”になることを恐れていた。
「むしろ大久保の方は逃げ腰だったにも関わらず、林さんの方が彼を最後の頼みの綱だと考え、何としても会話を続けようとしていると、二人のやりとりを見て感じました。林さんは明らかに急いでいた。“閉じ込め”になるっていうタイムリミットが迫っていたので」

