2016年に「週刊文春」がベッキーの不倫を報じて以来、著名人の不倫が立て続けにニュースになり、そのつど「不倫叩き」がおこなわれています。つい先日も、不倫が報じられていた今井絵理子議員が「交際宣言」をした途端、猛烈なバッシングが繰り広げられました。

 しかし、不倫はそんなに悪いことなのでしょうか? あなたの周囲……いや、ほかならぬあなた自身も似たような経験があるのでは?

 いったいなぜ、不倫する人は叩かれるのでしょうか? 芸能界をよく知るジャーナリストの中村竜太郎氏が、脳科学者・中野信子さんに聞いてみました。

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中野信子さん(左)と中村竜太郎氏(右)

脳や遺伝子のレベルで組み込まれている

中村 不倫って、昔から芸能ニュースの鉄板ネタではありました。古くは沢田研二と田中裕子の略奪婚、松田聖子、津川雅彦……もう枚挙に暇がありません。伝統芸能や政界もしかり。“隠し子”がいた歌舞伎役者や国会議員など、両手では足りません。

 でも、昔は今ほど不倫に対して世間の目が厳しくなかったと思うんです。なぜ不倫バッシングがこれほど猛烈になってきたのでしょう?

中野 なぜそもそも不倫が「悪」とされるのか? 『不倫』(文春新書)で詳しく書きましたが、まずはそのメカニズムからお話ししたほうがわかりやすいかもしれません。

 人類は共同体のなかで、一定のコストを負担する見返りとして、共同体からリソース(資源)の分配を得て生活しています。たとえば、私たちは税金や社会保障費用を納める代わりに、インフラや医療の恩恵を受けられます。

 

 しかし、なかにはコストを負担せず、「おいしいところ取り」する者もでてきます。

 これをフリーライダーと呼びます。フリーライダーはアリやハチなどの社会にも見られますが、一定の割合を超えてしまうと、共同体のリソースは減るばかりです。そこで、フリーライダーを検出し、制裁を加えなければなりません。その機能が私たちには脳や遺伝子のレベルで組み込まれているのです。