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ダークトライアドのダメ男がモテる理由

中村 もうひとつ芸能界を取材していて不思議なのは、女性を騙したりあちこちから借金を抱えていたりトンデモないウソつきだったりするダメ男が、なぜか絶世の美女を次々にものにしていたりする。『スクープ!』(文藝春秋)でもそれに類する事件を紹介しましたが……。これっていったい何なんでしょう?

中野 女性は、サイコパス、マキャベリスト、ナルシストの3要素を持っている男性に惹かれやすいんです。この3要素はダークトライアドと呼ばれますが、まさに典型的なダメ男ですよね。

 

 ただ、ダークトライアドの男性は一緒に結婚生活をするには最低ですが、「新奇探索性」が高く、性的にもアクティブなので、遺伝子をバラまく能力には長けているんです。

 つまり女性にとって、ダークトライアドの男性とセックスして自分の遺伝子を乗っけてしまえば、その子孫も同じようにあちこちで遺伝子をバラ撒くので、効率よく自分(女性)の遺伝子も次世代につないでくれる、と。それを女性は本能的に察知しているんですね。だから女性はそういう男性と性的関係をもってしまいやすいのです。

中村 なるほど。芸能界はダークトライアド的な要素をもっている人のほうがキャラも立っていて売れますからね。

 ただ、一方ではダークトライアドの男性と不倫したりすると、世間からバッシングされるリスクもあるわけですよね。それはブレーキにはならないのでしょうか?

 

中野 ダークトライアドに魅力を感じるのは、脳の中の古い皮質が私たちに指令を出しているからです。つまり「遺伝子を効率よく残したい」という、より本能的な欲求です。一方、「不倫がバレると社会から罰せられるから、やめておこう」という考えは、理性をつかさどる新しい皮質による判断です。

 新しい皮質はアルコールやストレスなどで麻痺しやすく、タガが外れやすい。「酔った勢いで、つい」といった一夜のあやまちが起きやすいのはそのためです。また、生い立ちの家庭で貧困や虐待を経験している女性は不倫のブレーキとなる大脳の新しい皮質が発達しにくいことも研究の中で明らかにされています。

一夫多妻や乱婚のほうが繁殖に有利だった

中村 そうした科学的な視点から見てみると、私たちは脳や遺伝子に踊らされて不倫をしたりバッシングをしたりしているわけですね。しかし、これだけ不倫が多いと、むしろ不倫をするほうが自然なのではないかとも思えてきます。

中野 もともと人類の祖先は、一夫多妻もしくは乱婚に近いかたちで繁殖していたと考えられています。

 

 なぜなら、一夫多妻や乱婚のほうが繁殖に有利だったからです。人類は哺乳類のため、母親が子育てにかけるコスト(時間、労力)が非常に高いのです。子どもを産むと、数年間は子育てにかかりきりにならなければなりません。その間、オスが自分の遺伝子を残せる別のメスを求めて外に出るのは、ある意味、効率的なことです。

 私たちの脳や遺伝子は今でもその当時の仕組みを残しています。大体、人口の約50%は「不倫遺伝子」をもっているとの研究報告があります。

中村 50%! 2人に1人は不倫型なわけですね。