新日本の本隊に加入のはずが維新軍に

 谷津は帰国直前にハワイのホノルルへ寄り、長州とタイガー服部レフェリーと会談。維新軍入りが決定した。

「坂口さんから電話があって帰国命令が出て、ハワイのホノルルに寄ってこいって。行ってみたら本当に長州と服部さんが待ち受けてた。マスコミとかカメラも入ってるから、何が『極秘会談』だよと思ったけどね。その時に、維新軍に入るってことになったんだけど、俺は嫌だったんだよ。だってそれまでは、日本に戻ったら新日本の本隊で猪木さんと一緒にやっていくと聞かされてたから。ハワイで『いや、そうだったんだけど、変わったんだ』って言われて、わけがわからなかったね」

 維新軍は、レスリング出身の実力者が集まり、互いに気心も知れた集団という触れ込みだった。

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「そんなのただのアングルだよ。べつに本人たちはちっとも仲良くなかったから。俺の加入も長州が望んだものではないし、坂口さんあたりが考えたんじゃないかな。そもそもプロレスの方向性も全然違ってた。

 維新軍になってから最初に後楽園ホールで長州と組んだんだけど、全然嚙み合わないんだよ。俺は海外遠征で昔ながらのアメリカンプロレスを学んで、それが大好きだったの。だけど、長州はハイスパートレスリングでしょ。バーッて出てってクチャクチャッてやってすぐにフィニッシュ。俺はどっちかっていったらそういうのが嫌いなんですよ。最初は腕を取り合って、じっくり組み立てていくようなプロレスをやりたかった。でも長州はハイスパートのパターンが3つくらいあればいいと。それをやるだけで客が沸いてくれるんだから、こんな楽なことねえよって。

 でも俺はアメリカンスタイルだから、維新軍に入ると俺だけスローに見えちゃう。それでファンや記者から『谷津だけ遅い』とか、いろんなことを言われたけど、いや違うだろって。俺だってハイスパートをやれって言われたらできますよ。でも俺はそんなのプロレスじゃないと思ってたから。俺の求めてるものはリック・フレアーとかファンクスみたいなNWAのスタイル。だから今思えば、その頃から自分は全日本ナイズされてたんだよ」