「ドアの隙間から包丁が入ってきて……」

 池袋の人気ショーキャバクラ『不死鳥』で働く小町あいるさん。かつて親しくなったタクシー運転手の客が本気になり、探偵に自宅を特定されストーカー化する恐怖に直面したという。夜の世界で働く中で痛感した客との「距離感」の難しさや、キャバ嬢に嫌われる・好かれる客の境界線とは? ライターの花田庚彦氏による新刊『池袋 裏の歩き方』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目)

小町あいるさん近影(写真提供:不死鳥)

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嬢から見たお客さん

 キャバクラという夜の世界で働くことについて、働き手から見てどのような魅力があるのだろうか。少し考えたそぶりを見せたあと、あいるさんはこう答えた。

「キャバクラって、お酒を飲む仕事だと思われることが多いんですけど、実際は人を相手にする仕事なんですよね。お客さんは本当にいろいろな人がいて、社長さんみたいな経営者の人もいれば、普通の会社員の人もいるし、タクシー運転手さんが来ることもあります。この店だと、50代とか60代で、1人で静かに飲みに来る人も結構多いですね。

 来る目的も人によって違って、仕事の愚痴を聞いてほしい人もいれば、自慢話をしたい人もいるし、ただ誰かと話したいだけの人もいるので、みんな同じ接客をしてたら駄目なんです。だから、接客中は『この人は何を求めて来てるんだろう』って、ずっと考えながら話してます」

 人を相手にするということは、人間関係が生まれるということだ。その距離感が難しいという。