火中の栗を拾うため

大谷翔平への取材が厳しく規制されているのは有名な話で、それに引っかかった日本のメディアが「出禁」になったニュースもあったが、そうした生活に慣れた松井にとって、試合が終われば報道陣が取り囲み、プライベートでもメディアが追いかけまわす日本の環境は耐え難いものにならないか。

松井は2027年の53歳シーズンが1年目の指揮となる。巨人での初采配の最年長(シーズン年齢)は2004年の堀内恒夫の56歳で、松井は2番目の年長となる。前出の通り、堀内は2年間で一度も優勝できず退任した。

普通に考えれば、国民栄誉賞を受賞し、野球殿堂入りも果たした松井が巨人の監督になる積極的な理由などないはずだ。長嶋との師弟関係は、それほど強固だったのだと思わずにはいられない。長嶋が第1次政権で背負った「90」を継承するあたりに、関係の深さがにじみ出ているといえよう。

ADVERTISEMENT

ともあれ、来季の楽しみが1つ増えたのは間違いない。2027年。25年ぶりに巨人という「故郷」に戻る松井秀喜は、一体どんな采配を振るのだろうか。じっくりとその手腕を拝見させていただくとしよう。

広尾 晃(ひろお・こう)
スポーツライター
1959年、大阪府生まれ。広告制作会社、旅行雑誌編集長などを経てフリーライターに。著書に『巨人軍の巨人 馬場正平』、『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』(共にイースト・プレス)などがある。
次のページ 写真ページはこちら