こうして『鈴木先生』への出演をきっかけに、三浦のなかで俳優としてやっていくという意識が芽生える。その一方で、彼女には自らの意思で選択してデビューしたわけではないというコンプレックスがあり、将来を考えていろんな選択肢をつくるべく芸能活動と並行して学校にも積極的に通った。大学受験にも、高校のクラスメイトと受験勉強の苦労を一緒に味わいたいとの思いもあって挑戦し、東京理科大学に合格する。

東京理科大学で数学を専攻

 大学では数学を学んだ。数学は子供のころから好きだった。計算は得意ではないが、問題の答えを得るためにどう解いたらいいか、それを考えて「証明」として説明するのが面白いという。

 しかも数学では、答えはひとつでも、それを導くための方法はたくさんある。ここから三浦は、《決められた点と点のあいだにどういう線を結ぶかという思考や頭の使い方を通して、脚本の読解とか、セリフとセリフの間(ま)をどう埋めるかといったことに役立つ頭の使い方を学んだような気もしています》と自己分析している(「HILLS LIFE DAILY」2022年6月23日配信)。

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映画『そばかす』(2022年)公開時の三浦透子 ©文藝春秋

演技プランを決めすぎない

 数学を通じて得た論理的な思考法も活かしながら、三浦は新たな作品に出演するたび、事前に脚本を読み込み、考えることが習慣となっている。その一方で、《仕事で心がけているのは、演技プランを決めすぎないことです。脚本の読解はどれだけやってもいいと思いますが、「こう演じよう」と決めすぎると、独りよがりのお芝居になりそうで》と、最近のインタビューで語ってもいる(『PHP』2026年8月号)。

 それは、さまざまな現場での経験があってのことだろう。たとえば、映画『私たちのハァハァ』(2015年)では、登場する女子高校生4人組を演じるうち3人は演技未経験者というなか、監督の松居大悟は三浦透子さえいれば大丈夫だと思い、本人には「おまえが引っ張ってきてくれ」と伝えて出演してもらったというのだが……。(つづく)

次の記事に続く 《人気バンドと紅白出場》『ドライブ・マイ・カー』で映画賞を席巻、意外なバイト経験も…三浦透子30歳が話題作に抜擢されるワケ

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