演技に活かされた、意外なバイト経験

 三浦は以前から免許こそ持っていなかったものの車は好きで、ガソリンスタンドでバイトしていたこともある。《スタンドで働いていて、車の中の清掃をすると、その人を感じられる空間になっているのが面白くて》と振り返ったその経験は(『悲劇喜劇』2026年3月号)、『ドライブ・マイ・カー』でみさきが家福の愛車を運転するなかで気遣いを示す演技にも活かされたはずだ。

 ガソリンスタンドで働いていたのにはまた、彼女いわく《「オーライ、オーライ」って、インカムを使わず相手に声を届けるにはどうするかを考えることができたから》という理由もあった(同上)。

 彼女はその少し前からたびたび舞台に出演していた(本格的な初舞台は2016年のてがみ座公演『燦々-さんさん-』)。そこでの発声法に活かすべく、バイト先では《高い音を出してみたり、低い音を出してみたり。小さな音でも、届く音があるかなとか。無理に大きい声を出してもそれが聞きやすいわけでもないし、喉にも良くない。負担のない小さな声でも伝わらないか考えていました》といった具合にあれこれ試していたという(同上)。

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歌手として紅白に出場

 声音にも工夫を凝らすのは、彼女が歌手としても活動しているせいもあるのだろう。2019年に公開されたアニメ映画『天気の子』では主題歌を含む2曲でボーカルを務め、その年の暮れには同作のサウンドトラックを手がけたRADWIMPSとともにNHKの紅白歌合戦にも出場した。ガソリンスタンドでのバイトは『天気の子』の仕事をするぐらいまで続けていたらしい。

2019年には歌手としてRADWIMPSとともに紅白歌合戦に出場(三浦透子公式X@toko_miuraより)

『ドライブ・マイ・カー』でのドライバー役で一躍脚光を浴びた翌年、2022年には単独初主演映画『そばかす』が公開され、『ミュージカル「手紙」2022』でミュージカルに初挑戦するとともに、それまであまり経験がなかったテレビドラマにも複数出演した。