『やりたいことが見つかる 世界の果てのカフェ』(ジョン・ストレルキー 著/鹿田昌美 訳)

 人生に迷った主人公が偶然辿り着いた不思議なカフェ。メニューには「あなたはなぜここにいるのか?」「あなたは死を恐れるか?」「あなたは満たされているか?」という3つの問いが記されていた。主人公は店員や客との対話を通してその問いに向き合い、自分が本当に望む生き方を見つめ直していく。原書は2003年にアメリカで刊行され、日本でも06年に翻訳出版されたが、当時はヒットに至らなかった。20年の時を経て新訳で再登場し、ベストセラーになっている。

「翻訳書のエージェントからの紹介文に『今、世界で19秒に1冊売れている』とあり、気になったんです。読んでみると、普遍的なメッセージが書かれてあり、編集の工夫次第で十分ヒットを狙えると考えました」(担当編集者の種岡健さん)

 翻訳者にはできるだけ自然で読みやすい日本語になるよう依頼し、比喩を中心に何度もやりとりを重ねた。また、タイトルにも工夫を凝らしたという。

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「原書の書名を訳した『世界の果てのカフェ』だけでは、どんな内容の本なのかわかりません。自己啓発書である以上、読んだら何が得られるのか伝わることが大切なので『やりたいことが見つかる』という副題をつけました」(種岡さん)

 発売当初から書店での売れ行きが好調で、購入を後押ししたと種岡さんが考えるのが、世界での販売実績を記載した帯だ。

「今は本を1冊買うにも慎重になり、『間違いなくおもしろいはず』という確信を持って買いたい人が多いと感じています。そこで世界で500万部も売れているという実績を大きく打ち出しました」(種岡さん)

 読者層は幅広く、進路に悩む高校生が購入する一方で、「定年後、何をすればいいのか考えるきっかけになった」という感想も。

「自己啓発本にはトレンドがあり、コロナ禍で当たり前の日常が奪われたことで、近年は『やりたいことなどなくても、ありのままの自分でいい』というメッセージの本が多かったように思います。ですが、ここ1~2年でAIが広く普及し、人間のやりたいことをAIが実現してくれるようになってきた。そのため、『人間の情熱』の大切さが再評価される時代が到来しつつあると思うんです。本書はその潮流にマッチしたのかもしれません」(種岡さん)

2025年11月発売。初版6500部。現在11刷16万部(電子含む)

やりたいことが見つかる 世界の果てのカフェ

ジョン・ストレルキー

ダイヤモンド社

2025年11月12日 発売