今年もハロウィーンがやってきた。
仮装した若者が路上に集い、見知らぬ者同士で写真を撮り合う。主催者のいない“路上の祭り”として膨らんだ渋谷のハロウィーンは、ここ数年、規制と向き合い続けてきた。
文春オンラインは2019年から、ハロウィーンの夜の渋谷を歩き、取材を続けてきた。緊急事態宣言明けの“密”、梨泰院の事故を受けた「来ないでほしい」宣言、新宿や池袋への分散――。路上で聞いた声とともに、2025年までの5年間を振り返る。
◆◆◆
2021年 緊急事態宣言明けの“密”と「おっぱいの邪魔をするな!」
2021年のハロウィーンは日曜日。緊急事態宣言が明け、飲食店への時短要請も解除された直後の週末だった。長谷部健渋谷区長は「なるべく自宅で楽しんでほしい」と呼びかけたが、前日の土曜日の夜、渋谷は予想以上の人であふれた。
当日は衆院選の投票日でもあった。手錠をかけた囚人姿の40代男性が「投票済ませてハロウィン行こう」とプラカードを掲げる一方、「東京卍リベンジャーズ」のマイキーに扮した若者5人組は「選挙も知らないし、行ってないし、行かないし」。路上飲酒の禁止を伝えても、「日和ってるやついないんで!!」と雑踏に消えていった。
20時ごろには、センター街の入り口付近は歩くのも難しいほどの“密”状態に。胸を強調した衣装の女性の前には、カメラを手にした男性が40人ほど群がっていた。取材を試みると、周囲から「おっぱいの邪魔をするな!」と怒号が飛んだ。
混雑は被害も生んだ。メイド服姿の20代女性2人組は「すれ違いざまに胸を触られた」「動画を配信していたらスカートに手をいれられた」と訴えた。自由な路上の祭りが抱える危うさが、すでに表れていた。
2022年の時点では、区はまだ融和的だった。長谷部区長は「遊びに来るなとは言いたくない。ルールを守って楽しんでもらいたい」と語っていた。
その空気を一変させたのが、同じ年の10月29日、韓国・梨泰院で起きた雑踏事故だ。ハロウィーンを楽しむ若者が狭い路地に殺到し、多数の命が失われた。

