「自分も高齢で産める」と思われることが一番怖かった
――49歳での出産を公表した時は、大きな反響がありました。どんな思いで発表したのでしょう。
小松 一番怖かったのは「小松さんが産めたなら、自分も高齢で産める」と思われることでした。40代後半での出産に安易な希望を持たれてしまったら申し訳ないので。私の場合は本当に偶然というか、まれなケース。基本100人いたら0、200人いたら1人ぐらいの話なんです。だから公表する時には、不妊治療を受けていたことも、それまでの経験も、きちんと伝えようと決めていました。
――成功例だけが広まることを心配していたんですね。
小松 そうです。私たちは治療にお金をかけられた部分もありましたけど、それでも全財産を注ぎ込むくらいの気持ちでした。家庭によっては、ほかのお子さんの養育費や親の介護にお金も時間も必要でしょう。私の例を見て「親の世話が終わってからでも大丈夫」と思われたら困ると思って。
妊娠を望むなら、少しでも早く情報を集めて考えてほしいんです。今日が一番若いわけですから。年齢が高くなってからの妊娠が絶対に無理だと言いたいわけではないんです。でも、私のようにうまくいった例ばかり見て、大切な時間を先延ばしにしてほしくない。それは最初から伝えたかったことです。
ただ、公表した頃は不妊治療への支援が話題になった時期とも重なって、治療について多くの人に知ってもらうきっかけにはなったと思います。それはよかったですね。
――出産後、仕事との向き合い方も変わりましたか。
小松 地方の仕事や宿泊を伴う仕事は難しいので、事務所には日帰りでできる仕事をお願いしています。子どもを預けてまで積極的に働きに出たいかというと、今はそういう気持ちではないんです。この子が育っていく時間は、今しか見られませんから。できるだけ一緒に過ごしたいですし、その時間を大切にしたいんです。
今は女の人も働けと言われ、子供を産んでから1カ月で社会復帰を果たして、子供を保育園に預ける人もいるじゃないですか。でも、そこにはお金がかかる。子育ての負担も大きいですよね。
朝から夕方まで働いて、迎えに行って、ご飯を食べさせて寝かせたら、もう一日が終わってしまう。子どもと過ごす時間がそれだけでいいのかなと、自分で子育てをしていて私は感じるんです。
子供が小さい時期って、本当に短い。食べ物をこぼしたら片付ける、着替えさせる、服が小さくなったから買いに行く。そういう一つ一つに関わることが、私にとっては幸せだったんです。だから、希望する親がもっと育児に時間を使える社会になればいいのにとどうしても思ってしまいますね。
