――小松さんご自身が特に嫌だった撮影の思い出ははありますか。
小松 足元から撮ろうとするカメラですね。布団をかけずに絡んでいる時、足元にカメラがあると体を隠しにくいし、股間を狙われているような感じがして落ち着かないんです。撮る側に意図があったとしても、こちらは説明されていないわけですから。今、どこが映っているんだろうと考えながら演じるのは、すごく嫌でした。
――濡れ場になると撮影に立ち会う人数が急に増えることもあったと聞きました。
小松 昔はありました。でも、今は必要なスタッフだけ、最小限の人数で撮ります。そういう環境を整えるだけでも、演じる側の安心感は変わると思います。
女性を守るためだけの仕事ではない
――そうした経験は、現在の仕事にどう生きていますか。
小松 撮影に入るずっと前、衣装合わせくらいの段階で役者さんと「何ができて、何が嫌なのか」を細かく聞きます。何がよくて何がNGか、俳優さんによって違うのでご本人の意思を確認します。人それぞれの境界線は違うからです。
私自身は撮影中に肌が見えることより、カットがかかった後にすぐ上着をかけてほしい、という気持ちが強かったんです。でも、同じように考える人ばかりではありません。本人が何にストレスを感じるかは、本人に聞かなければ分からないんですよ。
――男性の俳優にも確認するんですね。
小松 もちろんです。前貼りを使うか、お尻を出すかといったことも含めて、一人一人に確認します。その内容を整理して演出部などにお伝えします。
役者さんが監督に直接言いにくいこともありますし、撮影が始まってからでは余計に言いづらいでしょう。現場では事前に決めた約束が守られているかも確認しています。撮影の途中で演出が変わることもあるでしょうから、その場の流れで決めた範囲を超えてしまわないか、そこも気をつけています。
男性側からもインティマシーコーディネーターがいてくれた方がいいと言われますよ。「どこまで触れていいのか分からないから怖い」という声もあるんです。
相手の了承を得て、動きまで決まっていれば、男性も安心して演じられる。女性を守るためだけの仕事ではないんです。男性も、相手が嫌だと思うことをしてしまわないかと不安になる。お互いがどこまで了承しているのか分かっていれば、必要以上に怖がらずに芝居に向き合えると思います。
キスシーンやシャワーシーンも対象になりますし、肌の露出や性的な表現がある場面では、きちんと確認する必要があります。

