――一方で、今は過激なシーン自体を避ける作品も増えているように感じます。
小松 そういう傾向はあるかもしれませんね。問題が起きるくらいならベッドシーン自体をなくそうという方向に進むこともあると思います。
暴力的な描写についても、若い人から「そこまで見せる必要があるの?」という意見を聞くことがあります。映像に何を求めるかという感覚は変わってきているのかもしれません。
――安全を優先するあまり、表現の幅が狭くなる心配はないでしょうか。
小松 難しいところですね。今は作り手も若くなっていますし、規制の中で新しい表現を生み出す人もいるでしょう。ただ、問題を避けるために何も撮らない、ということばかりになってしまうのは気になります。
だからこそ、必要なシーンなら、どうすれば安全に、納得して撮れるのかを考えたい。インティマシーシーンをなくすか、我慢して撮るかの二択ではないと思うんです。
嫌なことも受け入れるのが“役者魂”だという誤解
――小松さんご自身もかつては「脱ぎも含めて演技」という意識があったと思います。そうした感覚は今の若い俳優さんにもあるものでしょうか。
小松 全然あると思いますよ。名前は出せませんけれど現在有名な女優さんの昔の作品を見ると、けっこう激しい役をやっていたりするので。彼女がそうしたことを受け入れたのは、ドラマではそうしたシーンがないと成立しないし、もっと芝居がうまくなりたいとか、その先の仕事を見据えて受け入れるという部分もあったのかもしれません。
長い間、映画の現場は男性が中心だったんです。最近ではスタッフにも女性が増えていますが以前は女性スタッフといえば現場にいらっしゃるのは記録さん(スクリプターさん)と衣装さんとメイクさんくらいでした。
現場のある種閉鎖的な空間に女性の目が増えたことで性的なシーンに対しての作り手の感覚も変わってきているのかもしれませんし、出演する側の意識も昔とは違うだろうなと感じています。
――以前は、嫌なことも受け入れるのが“役者魂”だと考えられていた部分がありますね。
小松 でも、それは違うと思います。“役者魂”という言葉で、ただ我慢しろと言っているだけになってしまう。苦しいことに挑戦するかどうかは、役者自身が納得して選ぶべきことです。
俳優が自分の意思を伝え、監督もそれを踏まえて演出を考える。そのために間に立つ人が必要なんです。私自身、もっと早くそういう人がいてほしかった。だから今は、自分が経験してきたことを役立てたいと思っています。
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