小島秀夫が観た『search/サーチ』

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　全てがあきらかになった後、デビッドはマーゴットと再会する。

　凡庸な作家ならば、ここで視点をかえ、再会を喜び抱き合う父娘の姿を見せるだろう。ネットの世界を捨て、モニタから抜け出して現実を選ぶ、というオチにしてしまいがちだ。だが、本作はこの再会もモニタで見せるのだ。

　肩を寄せ合い微笑むデビッドとマーゴットの写真がスレッドにアップされ、再会を喜び合う父と娘のテキストによる会話が表示される。これまでと同じように、カメラはPCのモニタだけを映している。デスクトップの壁紙は、映画の冒頭に出てきた緑の丘と青空のものではない。デフォルトの壁紙ではなく、オリジナルのものになっている。

　そのMacBookの画面を見ているのはデビッドではなく、マーゴットだ。

　しかし、カメラはPCのモニタを捉えたままで、マーゴットであろうその人物の姿は映さない。

　SNSも、PCのモニタも決してなくならない。それを捨てて生きることは、きっと出来ない。このラストが示すのはSNSの否定でも礼賛でもない。現実から目を逸らさず、そこでの繋がりや生をサーチする新しい視点が提示されている。

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