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夢の国の行列に並んで思ったこと

 迎えてくれるディズニーの店員さんたちもみんな親切です。千葉県民ですか。きっと彼らは海外に行くと「東京から来ました」とか説明するんでしょうが、いや、あなたがたは千葉県民です。まあ、千葉にあるけど「東京」ディズニーランドですけどね。世の中いろいろ都合よくできてますね。でもあれだけ他人に親切にできるというのは素晴らしいことだと思います。まあ、夢の国ですからな。

 で、何が一番困るって、ディズニーリゾートは昔から夢の国のはずじゃないですか。なのに、どこにいっても混んでるどころか、何かをしようとすると行列なわけです。なんですか、トイストーリーのアトラクションに乗るのに120分とかいう待ち時間は。立ったまま死ねってことですか。並んでいる間にうんこしたくなったらどうするつもりなのでしょう。未就学児連れて並ぶの? トイストーリーは子どもも好きなので興味をもって「乗ってみたい」と私の顔を見上げるわけですが、私と文春オンラインの力をもってしても2時間の列をゼロにすることはできません。

写真はイメージです ©iStock.com

 というか、当たり前ですがどこいっても行列なわけですよ。『小さな世界』ですら1時間待ち、スペースマウンテンは90分待ち、モンスターズインクは2時間待ち。なぜか入園口のところに長蛇の列があるぞと思ったら、ミッキーさんの嫁であるミニーちゃんと記念撮影するのにみんな並んでいるんです。おい、相手はネズミだぞ。築地に行けば嫌というほど走ってるのに、一体何がそんなにありがたいんだ。ディズニーランドを楽しみに行ったはずが、行列という苦難を受け入れる修行のようなものじゃないですか。あまりにも辛いので子どもたちは帰りたいという、親はせっかく来たのだからもうしばらく居ようという。親と子で、方針を巡る戦いが始まります。もうね、骨肉の争いですよ。さらには、地べたに座っている人たちがたくさんいるので何だろうと思ったら、2時間ぐらい後から始まるパレードを前列で観るためにゴザ敷いて待っているという。何でそんなに楽しそうなの、待ってるだけなのに。

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2時間待つ。大学病院かよ

 さらにはポップコーンを買うためだけに30分行列、飯屋で美味くもないピザを喰うために長蛇の列の最後尾に並ぶ。立ち疲れて泣く子どもの手をひき、思考を停止させ青白い顔で立ち尽くす親。行列、行列、行列。暇つぶしに持ち込んだスマホの電池が切れたと充電場所を探す女学生たち、食べ物をようやく買えたと思ったら座る場所が見つからずトレイのうえで冷めていく食べ物を載せたまま呆然としている老夫婦。

©iStock.com

 夢の国だ。ここは、夢の国なのだ。希望と愛とイマジネーションの世界だ。そう言い聞かせつつ、所要時間数分のアトラクションのために2時間待つ。大学病院かよ。楽しみたいパビリオンの前で「ファストパスの配布は終了しました」の表示の前で「そうだよな。そうだよな」と自分を納得させる。せめてもの楽しみにとビッグバンドビートの抽選に立ち向かうが、無事ハズレの結果を出し、くじ引きのボタンを押した次男に非難の声が浴びせられ、家族のイライラは頂点に達します。