文春オンライン

「脅す」「ツンデレ」「自賛」トランプ大統領のTwitterを政治学者が分析すると……

フォロワー数5500万人の大統領アカウントが、社会を分断させている

2018/11/01

9月末になっても「金正恩と恋に落ちた」と述べる

 しかし、平昌オリンピックを契機として南北関係が急速に進展する中、韓国が仲介する形でアメリカとの交渉を北朝鮮が求めていることが伝わるとトランプ大統領の姿勢は急速に変わり、米朝首脳会談に積極的になった。

 それが6月のシンガポールでの首脳会談につながり、そこでは「完全な非核化」が合意されたが、その後の非核化の作業はまったく進んでいない。にもかかわらず、トランプ大統領は北朝鮮を非難することは避けているどころか9月末になっても「金正恩と恋に落ちた」と演説で述べるなど、「ツンデレ」の「デレ」状態が続いている。

米朝首脳会談後も北朝鮮とは「デレ」の蜜月状態が続く ©getty

 ただ、イランは北朝鮮とは異なり、トランプのツイートが「ツン」状態であっても、交渉に応じようとはしていない。

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アメリカのミサイルをやや幼稚な表現で賞賛

 核のボタンの大きさを誇るトランプ大統領は、他の兵器に関しても強気のツイートをする傾向にある。例えばシリア内戦においてロシアが防空ミサイルを配備した際に以下のようなツイートをしている。

〈ロシアはシリアに向けて発射されたミサイルをすべて撃ち落とすと言っている。ロシアよ覚悟しろ。格好良く、最新で「スマート」なミサイルがやってくるぞ。化学兵器で人を殺し、それを楽しんでいるアニマルなんかと連携すべきではないのだ!〉

 ここでもアメリカのミサイルをやや幼稚な表現で賞賛している。

 トランプ大統領の一般的な傾向としてアメリカの軍と兵器に対する絶対的な信頼と、それに対する賞賛があるが、それにしてもシリアにおいてロシアと本格的に武力衝突をするつもりはない(国防総省はそれを徹底して避けようとしていた)のにこうしたツイートを繰り返すので、誰もこうしたツイートが本気の発言とは見なさなくなっている。