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強いリーダーとの個人的な関係を好む

 トランプ大統領のツイートは、しばしば外国のリーダーに対する個人的な感情と外交関係のジレンマを示しているのも特徴的である。トランプ大統領はプーチン大統領や習近平主席、エジプトのシーシ大統領やイスラエルのネタニヤフ首相など強いリーダーとの個人的な関係を好み、リーダーとの人間関係が外交政策に影響すると考えている。その点では安倍首相との関係も同様である。

今年7月、ヘルシンキにてプーチン大統領と会談。「強いリーダー」として認める相手ではあるようだ ©Antti Aimo-Koivisto / Lehtikuva

 しかし、それはアメリカという国家が抱えている外交問題の解決に役に立たないこともある。特に中国との関係がそうなっている。代表的なツイートを紹介しておこう。

〈習主席とは貿易摩擦がどうなろうとずっと友達だ。中国は貿易障壁を取り下げるだろう、なぜならそれが正しいことだからだ。税金(関税のことと思われる)は互恵的でなければならず、知財に関しては合意が出来るはず。両国には偉大な未来がある!〉

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 トランプ大統領は2017年11月に訪中し、普段は入れない故宮の中にまで入れるというもてなしを受け、習主席に対しては好感情を抱いており、現在においても習近平は友人であると述べている(2018年9月の国連総会での発言)。しかし、改めて言うまでもないが、米中は貿易戦争と言われる状況に入っており、また軍事的にも緊張関係が高まっている。

 トランプ大統領の外交政策に関するツイートは、あたかもトランプ大統領の個人的な感情に訴えれば問題は解決するような気にさせるが、トランプ大統領は選挙公約である貿易赤字の解消など、個人的感情よりも優先しなければならない課題がある。個人的感情が強く出るツイートばかりに注目しているとアメリカの外交を見誤ることになる。

テロ行為を誘発したと言っても過言ではない

 最後に、オバマ前大統領やクリントン元大統領、CNNなどに手製のパイプ爆弾と見られる爆発物が郵送される事件が起きたが、これらの宛先はトランプ大統領が日々ツイートで激しく批判している相手である。容疑者として拘束された人物は、熱烈なトランプ支持者であると同時にCNNを罵倒するようなステッカーを車に貼り付けている50代の白人男性であることが判明した。この人物が犯人だとすれば、トランプ大統領のツイートを通じて扇動された結果だと考えられる。

爆発物郵送事件を受け、CNNオフィス前で警備を行うニューヨーク市警 ©getty

 トランプ大統領のツイートは何のフィルターもかからずトランプ大統領の考えや感情をそのまま伝達するだけに、人々に直接言葉が届く。トランプの思想が偏見に満ち、対立を煽るものであれば、ツイートはそれを増幅する。それをダイレクトに受け取った人々は、大統領の権威の下、何をやっても許されると勘違いする可能性が高まる。それがこうしたテロ行為を誘発したと言っても過言ではない。トランプ大統領のツイートが問題なのではない。トランプ大統領自身が問題なのだ。