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「萌え表現」と「女性の権利」は両立可能

 さて、話をキズナアイや碧志摩メグに戻そう。日本においてVTuberアイドルやご当地萌えキャラに「性的」ないかがわしさを見出す人たちが、自身が「不快」と感じたものに抗議を表明する権利はもちろん保証されている。

 ただ、公共圏においてさまざまな表現形式が市民権を得ることと、女性が伸び伸びと自由に生きられることや男女の機会平等が保証されることは、実は対立する概念ではなく両立が可能なものである――、という実例が存在することも、やはり指摘しておきたい。

 とりあえず【(1)萌え表現が氾濫しているが女性の権利が制限されている社会】と、【(2)抗議に萎縮して表現活動が制限されているが女性の権利は守られている社会】が二者択一的に提示されて、オタクとフェミニストが殴り合っている世の中よりは、【(3)萌え表現の発表の自由も、女性の権利も守られている社会】のほうがずっといいだろう。

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 そして、本来ならば【(3)】の実現は別に不可能なことではない。

 最後に個人的な意見を言わせてもらうならば、キズナアイや他の萌えキャラが社会の表舞台に出て活躍するいっぽうで、女子学生が入試の合格基準を不当に制限されたり閣僚に女性が1人しかいなかったりするような男女差別的な社会システムもしっかり改善されている世の中のほうが、万人にとっての幸福の最大値は高まると思うのだが。