世界の河瀬直美監督に「キャピキャピしていない」と評価された、大人の女優・石橋静河さん。父は石橋凌さん、母は原田美枝子さんという俳優に囲まれた家庭で育ったからこその“反抗”、その本音をお伺いしました。(全2回の2回目/#1より続く)
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お芝居じゃない世界に行こうって、親に反抗してたんです
――バレエ留学を終えて19歳で帰国。ダンサーとして活躍したのち、舞台で女優デビューをされるわけですが、早々に野田秀樹さんの舞台に抜擢されたんですよね?
石橋 『逆鱗』という作品です。松たか子さんをはじめ錚々たるキャストのみなさんに囲まれて舞台に立てたことは本当に幸運でした。野田さんからは「バレエをやっていた経験は大事にしなさい」と言っていただいて、本当に支えになりました。小さい頃からバレエをやっていて、ステージ上から遠くの人に表現を届ける感覚はなんとなく体の中にあったんです。それをもっと伸ばしていこうって思えるようになりました。
――ダンスから芝居に仕事の重心を移されたのは何かきっかけがあったんですか?
石橋 子どもの頃は親に対する反抗もあって、お芝居じゃない世界に行こうってけっこう頑なだったんです。日本の映画もお芝居もほとんど観ずに、まるで食わず嫌い(笑)。でも留学中にニューヨークのオフブロードウェイでたまたま観た『My Name is Asher Lev』という舞台がとても面白かったんです。ユダヤ人の少年の話なんですけど、舞台上にラックがあって、役者がそこにかけてある帽子やコートを身につけると全く別の役になって登場するっていう演出になっていて、お芝居って面白いなって初めて思ったんです。