2018年10月、中間選挙を前にテイラー・スウィフトが民主党支持を表明し、大きな話題を呼んだ。2010年代に複数のNo.1ソングを持つアメリカ出身女性ポップスターのうち、民主党支持を表明していない「最後の一人」とされてきた為である。
一方、同時期、米国の調査会社MorningConsult(以下MC)が『アメリカで好感度が政治的に分断されているスター』調査を発表した。民主党支持者と共和党支持者で好感度に差があればあるほど上位にランクインするこの調査で、“分断”首位を獲得したのは、テイラーと同じ女性シンガーであるビヨンセだった。
アメリカでは、セレブリティの人気と党派性に関する調査が定期的に行われている。それらを紹介しながら、音楽界を中心としたセレブ事情を覗いてみよう。
“分断スター”TOP10は誰?
MCの「好感度と党派性」調査で対象とされたセレブリティは米誌「Forbes」が発表した「世界で最も稼いだセレブリティランキング100」にランクインした100人。サンプルは6,609人のアメリカ国民である。その中で、二大政党支持者間で好感度に最も差が見られたのは以下の10人だ。
1位ビヨンセ
2位ショーン・ハニティ
3位ラッシュ・リンボー
4位エレン・デジェネレス
5位レブロン・ジェームズ
6位ジェイZ
7位ケイティ・ペリー
8位レディー・ガガ
9位リアーナ
10位ジョージ・クルーニー
それぞれ保守系のトークショー司会者と、保守系のラジオ番組MCであるショーン・ハニティとラッシュ・リンボーを除き、上位10人のうち実に8人が民主党支持者に支持される傾向にある。そもそも、この「党派性」調査の対象となったセレブで、共和党支持者人気の方が高かった者は100人中10人に過ぎない。
TOP10の半数は音楽界の売れっ子
“分断”TOP10の半数は音楽界のスターだ。ビヨンセ、ジェイ・Z、ケイティ・ペリー、レディー・ガガ、リアーナ……民主党支持者に支持されたこの5人は、Billboard歴代TOP100アーティストに入る売れっ子であるほか、リベラルな言動で知られるスターたちでもある。
デビュー以来マイノリティの権利を訴えてきたレディー・ガガは、2016年アカデミー賞で性暴力被害者とともにパフォーマンスを披露した。そのとき彼女の舞台を紹介するホスト役を務めたのは、当時のアメリカ副大統領ジョー・バイデン。これは「スターと連帯した民主党のPR」そのものと言える。さらにガガは、同年大統領選でトランプが勝利した夜、すぐさま抗議行動を行い「愛は憎悪に勝つ」と訴えるプラカードを掲げた。
ケイティ・ペリーも、大統領選挙のあった2016年には共和党への批判を繰り返し、その翌年には、高視聴率を獲得するグラミー賞においてトランプ政権批判パフォーマンスに打って出た。リアーナもトランプタワー前の抗議行動に参加したし、人種差別問題について意見することが多いHIPHOPの重鎮・ジェイ・Zもトランプ大統領に名指しで糾弾されるほどの存在だ。