森龍朗さん

 今や日本人バレエダンサーが世界中で活躍する時代となった。しかし、西洋発祥のバレエを日本に根づかせる苦労は並大抵のことではなかった。

 日本バレエ協会初代会長を務め、「ママ」と呼ばれて誰からも慕われた服部智恵子。服部のパートナーで、人間の根源を見つめる舞踊作品を創り、新国立劇場初代舞踊芸術監督を務めた島田廣。2人の生涯を描いたノンフィクション『2人の舞踊家 指導者服部智恵子 振付師島田廣』を森龍朗さんが上梓した。

「2人の芸術観、舞踊観、日本バレエ史の中での大きな山に、どう立ち向かったか。服部先生没後30年の2013年に島田先生が亡くなり、2年間で資料を整理し、さらに3年かけてまとめました」

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 700頁超の大作を書き上げた森さんは、17歳で服部・島田バレエ団に入団、1965年の閉団後も師と仰ぎ、現在はバレエ協会の理事を務める。

 100年前、ロシア革命から逃れて来日し、日本にバレエを移植したエリェナ・パァヴロヴァ。彼女の死後、2人は日本バレエを牽引し、終戦後わずか1年で日本初の「白鳥の湖」全幕公演を実現させた。

「2人のバレエへの純粋な情熱と愛情の記録です」

二人の舞踊家 指導者 服部智恵子 振付師 島田廣 (文藝春秋企画出版)

森 龍朗(著)

文藝春秋企画出版部
2018年10月31日 発売

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