英国ではファロン国防相とグリーン筆頭国務相が辞任や事実上の更迭に追い込まれ、フランスではパリなど15都市で数千人規模のデモ行進があった。米ニュース雑誌「タイム」は17年の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」にセクハラ被害の告発者たち(沈黙を破ったものたち=the Silence Breakers)を選んだ。
日本でも詩織さんの告発と「#MeToo」のムーブメントに背中を押され、被害を明らかにする女性が次々と現れる。作家の森まゆみさんは「かつて勤めていた出版社社長からセクハラ行為を受け続けていた」と告白。元厚生労働事務次官の村木厚子さんは「幼少期に近所の男子生徒から身体を触られた」と明かし、「大切な自分の権利が侵害されたということは言った方がいい」と呼び掛けた。人気ブロガーの「はあちゅう」さんは、電通時代の元上司からのセクハラ、パワハラ被害を打ち明けた。
いずれの国も加害者は政治家や役人、メディア関係者が目立つが、なかでも日本の「後進ぶり」が顕著だったのは18年4月に発覚した財務事務次官(当時)のセクハラ問題だ。詳細は別稿に譲るとして、「最強エリート集団」の財務省は調査の過程で、被害者に自ら名乗り出るよう要請する「お粗末さ」をさらした。通報窓口が財務省の顧問弁護士事務所という「おまけ」つきだった。
男女格差指数で144カ国中114位
下村博文元文科大臣は講演で「(女性記者が)隠し録って週刊誌に売ること自体がはめられている。ある意味犯罪だと思う」と発言。後に撤回したが、麻生太郎財務大臣は「はめられたのではないかとか、色々ご意見ありますから」「セクハラ罪という罪はない」と混ぜっ返した。
男女平等の度合いを指数化して順位を決める「ジェンダーギャップ指数」(17年)で日本は144カ国中114位。国会議員の女性比率が129位、閣僚の女性比率も88位で世界と比べても女性の社会的地位は低い。こうした国会議員の野蛮な発言は、日本の指数の悪さを裏打ちした。