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2018/11/16
著者/望月衣塑子さん(東京新聞記者)

 麻生大臣らの発言を受け、弁護士や女性団体の関係者らは財務省前などで抗議デモを行った。また、新聞社やテレビ局、出版社などの女性たちが「メディアで働く女性ネットワーク(WiMN)」を創設し、5月に財務省などに要望書を手渡した。6月には野田聖子女性活躍担当大臣(当時)が、省庁幹部らへのセクハラ研修の義務化や、女性記者の取材環境について、各省庁と記者クラブとの協議の場を設けるなどの緊急対策を発表した。男性社会だったマスコミ各社も、社内の通報制度や告発者を保護する制度への見直しに乗り出した。

 他方、告発の動きは大学やスポーツなどの他分野にも広がった。早稲田大学は女性の元大学院生からのセクハラ告発を受け、大学教授のセクハラ行為を認めて解任した。アマチュアスポーツでは指導者や幹部から受けたセクハラやパワハラの告発が相次ぎ、連日ニュースとなった。これらは「#MeToo」の動きと無縁ではないだろう。

 ただし、課題は山積みだ。「声を上げるまでに7年かかった」という「はあちゅう」さんは「忘れられない私が人間的に未熟だと思っていた」「(告発で)印象が悪くなって仕事がなくなるかも」と語っている。事実、告発後も「あなたにも落ち度があったのでは」「見返りを求めて自ら近づいたのでは」という偏見や中傷に苦しむ人は少なくない。詩織さんもバッシングを受け、生活の拠点を海外に移した。名前を出して被害を訴えた側が攻撃にさらされるのでは、誰もが口をつぐみ、二の足を踏んでしまう。それぞれの組織において、告発者を守る仕組みと意識の醸成が必要だろう。

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