2018年シーズン、佳境を迎えるJ1リーグ。11月3日に行われた第31節、横浜FM対FC東京の試合は0-1でアウェイチームが勝利した。

 この一戦は、ある選手に注目が集まっていた。FC東京のDFでキャプテンを務めるチャン・ヒョンス。唯一の得点は彼のヘディングからもたらされ、試合を通しても堅守を貫きチームの勝利に貢献した。

 すでに既報で広く知られているが、試合前の今月1日に韓国サッカー協会から大きな発表があった。

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「チャン・ヒョンスの韓国代表資格の永久剥奪」

韓国代表の副主将としてロシアW杯にも出場 ©AFLO

なぜ代表を「永久追放」されたのか?

 2014年のアジア大会に出場し韓国の優勝に貢献していた彼は、国の特例措置により韓国国民の男性に課される兵役の義務を免除されていた。今夏に行われたアジア大会でも韓国は優勝を果たし、出場していたエースのソン・フンミンも同じ特例により免除されたニュースは記憶に新しい。

 兵役を免れた選手たちには、代わりに合計500時間を超える社会奉仕活動が要求され、彼らは普段のプレーの傍ら、オフの時間を見つけてはボランティアなどに勤しむのが通例だ。チャン・ヒョンスは今回、その活動報告の内容を記す書類に虚偽が見つかり、本人もすべてそれを認めた。もちろんその行動が過ちであることは明らかだが、彼自身の意図で操作したのか、もしくは周囲で彼をマネジメントするパートナーのような人間が雑務の一環の中で記したのか、その真相は明かされていない。いずれにしても、本人の自己責任であるのは明らかで、何かしらのペナルティを受けることは予想できた。

 しかし、それが代表からの永久追放という、極めて重たい処罰になったことが衝撃だったのだ。

日本のファンと韓国世論との間の“温度差”

 日本のサッカーファンや関係者からは、「ちょっと厳しすぎないか」といった意見も聞く。韓国世論に耳を傾けると、「当然の結果」や「兵役免除も取り消すべき」といった厳しい見方が大半となっている。実際に複数の韓国人の知人・友人に今回の件について聞いたが、やはり「事実であるなら当然の処分だと思う」という意見で占められていた。

 兵役問題は日本の視点から語ることは難しく、そして韓国の人々からしてもとてもデリケートな事柄である。