日本サッカーの歴史は、川口能活の歴史でもある。

 ブラジルを撃破した1996年のアトランタ五輪「マイアミの奇跡」、初めてW杯出場を決めた1997年の「ジョホールバルの歓喜」、そして1998年のフランスW杯から4大会連続のメンバー入りを果たした。

清水商業高から1994年に横浜マリノスに加入。95年にはJリーグ年間優勝を果たし、新人王に ©文藝春秋

代表116キャップが生んだ数々の名シーン

 見せ場と「ヨシカツ」はセットだった。アトランタでの活躍をはじめ、フランスW杯では優勝候補アルゼンチンのシュートをことごとく弾き、ドイツW杯ではクロアチアのPKを食い止めている。アジアの大会に目を移しても2004年、アジアカップ中国大会の準々決勝ヨルダン戦は語り継がれている名シーンの一つ。PK戦で先に日本が2本失敗しながらも、神懸かり的なセーブから勝利に導いた。

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日本代表としても初出場だったフランスW杯。クロアチア代表のスーケルをマークする ©文藝春秋

 そんな伝説のGK、日本をけん引してきた彼が今シーズン限りでの現役引退を表明した。30代半ばからケガとの戦いが続いてきたなか、43歳でピッチを去ることになった。

 日本代表GK歴代トップの116キャップを誇り、JリーグではJ1、J2、J3すべてのカテゴリーに出場して合計500試合超、海外ではイングランド、デンマークでもプレーした。

 名シーン数知れず。

 文春オンライン編集部からのリクエストは、川口能活のベストシーン。凄いシーン、印象に残るシーン、好きなシーン全部ひっくるめたうえで何が「あなたの記憶に一番焼きついているか」と。

 悩みに悩んだが、やっぱこれでしょ、というシーンがある。

 凄くて、印象に残っていて、大好きだ。