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カルロス・ゴーンが墜ちた 欧米セレブ経営者「金銭感覚」の罠

原因の一つと考えられるのは、日本の経営者の年俸の低さだ

2018/11/20

なぜ見抜けなかったのか

 20日にはNHKが「ゴーン会長が正当な理由がないのにブラジル、レバノンなど世界4カ国で会社側から住宅の提供を受けていた」と報じた。住宅を保有する関係会社には数十億円が支払われていたという。

 数十億円は日本では「巨額」だが、プライベート・ジェットや自家用クルーザーを乗り回す人々にとっては「はした金」である。ゴーン氏の「基準」が後者にあったとすれば、「みんな、そのくらいはやっている」という感覚だったのかもしれない。

 日本の常識では考えられないゴーン氏の“金遣い”を支えたのが、一緒に逮捕された代表取締役のグレッグ・ケリー氏だろう。

 日産自動車の社員だったケリー氏は人事畑の出身だが、ゴーンが日産とルノーのCEOを兼務するようになった頃から、ゴーン氏の側近に召し上げられた。代表取締役でありながら、業務の執行には関わらず「なんの仕事をしていたのかよくわからない」(前出・日産関係者)という。恐らく、資金繰りを含め、ゴーン氏の身の回りの世話をしていたのだろう。

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 セレブになりたいゴーン氏の気持ちを忖度してケリー氏が動いたのか、それともゴーン氏の指示だったのか。今後の焦点はそこだ。内部告発があるまで「なぜ、見抜けなかったのか」という日産のガバナンス問題も重要だ。

 日産自動車を再建するためルノーから颯爽と乗り込んできたのが19年前。古株の役員連中を一掃し、「系列」を解体し、工場も閉鎖した。大ナタを振るう姿は「日本的経営」の常識を根底から覆した。そのゴーン氏がこんな形で表舞台を去るのは残念でならない。日本の大企業のトップたちは、「ほら見たことか」と溜飲を下げ、昔ながらの「仲良し経営」に戻ってしまうのだろうか。

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