相田が激怒し、小宮が号泣した「3年目の解散」
こうして生まれたコンビは結成3年目で解散する。小宮は相田を渋谷のファストフード店に誘い、こう切り出したのだ。
「養成所ライブで一位を取り続けてるけど、俺たち底が見えてきただろ。エッジの立った笑いを演るにはもう一人要るよ」(※)
これを聞いた相田は「他にいないタイプのコンビだから組んだのに。最初から誘うなよな!」と激怒、辞めると宣言した。小宮は号泣したという。
こうして最初の三四郎解散後、相田をツッコミ役として招いてトリオ漫才「次男坊」を結成するも一年で解散。また二人で三四郎として活動を再開した。この時にツッコミは小宮、ボケが相田とシフトを変えて再出発したのだ。二人は絶えずライブ出演を重ねて玄人筋に認められる。それが前述の『ゴッドタン』出演に結実したのだ。
番組本番、車椅子で現れたボロボロの小宮は大ウケをさらったものの、相田はショックを受けていた。
バナナマンから「歯がない癖に生意気だ」
「出演2日前にマネージャーから小宮が大怪我したって電話がかかってきて泣いちゃったんです。せっかくのチャンスが潰れると思うと悔しくて。その怒りをどう発散すればいいか分からなくなって、パチンコ屋に入って、やったこともないのに台の前に座ってたらまた泣けた。そしたら当たっちゃったみたいで、フィーバーになって、それでまたパニックになって『何これ何これ』って店員さん呼ぶんだけど、店員さんもなぜか泣いてる僕を見て『何これ』って顔してて(笑)」(※)
この危機を乗り越え、彼らは現在に見られるような全国区となった。『アメトーーク』での小宮の緊張ゆえのタメ口やバラエティのリアクション芸は面白い。バナナマンにラジオで「歯がない癖に生意気だ」、といじられるキャラとしては水準以上だ。
けれど、三四郎本来の持ち味は漫才で培った喋りのキック力にある。彼らのフリートークの魅力は知る人ぞ知る域だろう。彼らが「著しく売れかけている」理由はそこにあるのではないか?
ラジオは「爆笑問題カーボーイ」に迫る充実ぶり
15年3月末からスタートした深夜3時放送の「オールナイトニッポン0」での喋りは、TBSラジオ「爆笑問題カーボーイ」に迫る充実ぶりなのだ。
番組序盤のフリートークは小宮が先手、相田が後手の二段構え。まず小宮は近況スケッチ中心だ。例えばBLTサンドの語源がベーコン・レタス・サラダだと口にしてしまい(正解はトマト)嘲笑われ、その雪辱のために行ったことのないサブウェイを延々ハシゴするという話。出番のたびに不調を覚えてトイレへ駆け込む小宮の頼みは目薬、風邪薬、塗り薬、ビオフェルミンを常備している小袋だ。自称薬漬けである彼が小袋を忘れたことから心の支えを失い、挙動不審になり、共演の若手ミュージシャンに笑いで完敗するエピソード。出勤前の朝に部屋に巨大ゴキブリが出現、放置してきてしまったことで仕事も手につかないまま、ずっとゴキブリを思い続け、ついには「これは恋かも」と錯覚する回など、自身の強迫観念に突き動かされる不毛な行動が笑いを呼ぶ。