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長女からの「かあちゃんが変わるわけじゃないから」

──手術の前に抗がん剤治療をされたそうですね。

内田 肛門から2センチのところに腫瘍ができていて、「すぐに手術をすると人工肛門は免れない。手術前に抗がん剤治療をしてがんを小さくし、肛門からの距離が広がれば、人工肛門にしなくてすむかもしれない」と主治医から説明を受けたんです。だから、「人工肛門を回避できる可能性が大きくなるなら」と、抗がん剤治療からスタートしました。でも、抗がん剤には「髪が抜ける」「吐き気がある」など、副作用のイメージがあって不安には思いました。

──仕事と家事と治療と、バランスを取るのも大変でしたよね。

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内田 子どもたちは料理が好きで、自分で食事も作れるので、家の事はそれほど心配しなくて大丈夫でした。仕事もその時はそんなに多くなかったので、まとめて早めに描いてしまえば、休むほどではなかったんですよね。でも、時々家でぐったりしたり、ゴロゴロしたりはしていました。あとこれは今もそうですが、悪い方に考え出したなという時は、とにかく寝るようにしていました。

 

──抗がん剤の治療中、日常生活で困ったことや不自由はありませんでしたか?

内田 主治医に「大腸の抗がん剤は、つわりより軽いと思う」と言われた通り、副作用はそんなに大変ではなかったんです。髪の毛が抜けることもなかったんですけど、指先がビリビリしたのは困りました。手袋をしても指の先に氷が入っている感じで、冷凍品だけでなく、冷蔵庫の中のものもビリビリして触れないんです。サラダはカット野菜を買ってきて、りんごは自動皮むき器とカッターを使うなど、便利なものを活用していました。

──人工肛門は避けられないと言われた時、ご自身の気持ちをどう整理されましたか。

内田 抗がん剤治療中はずっと「ストーマにならなきゃいいな」と思っていたので、入院当日に人工肛門造設の説明を聞いている時も「ならないかもしれないから」と思っていたんです。でも、付き添ってくれた長女が「(人工肛門になっても)かあちゃんが変わるわけじゃないから」と言ってくれて、励みになりました。

 

──優しい娘さんですね。

内田 今も外出中には万一に備えて、替えのパウチや面板(プレート)、ポリ袋、はがし剤などを持ち歩いているのですが、長女が「生理の時に生理用品持って歩くのと同じ」と言ってくれて、確かにそうだなと納得できました。今は慣れたのでトラブルはほとんどありませんが、最初は大変でした。