大腸がんと診断され、人工肛門(ストーマ)を造設した内田春菊さん。がん治療の実情や、ストーマライフにどう向き合ってきたのか、内田さんのリアルな体験談をお聞きしました。
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ストーマをつけた自分やその後の生活が想像できなかった
──内田さんは、大腸がんと人工肛門(ストーマ)の造設について、いろいろなところで体験を発表されていますね。
内田 自分ががんになってみたら「実は私も」という人が意外に多くて、みんな黙って治療していたんだなあと思ったんです。私は情報がほしくていろいろな人に話を聞いたり、本を読んだりして調べたんですけど、がんってものすごく個人差があって、その人によってみんな違うんですよね。だから、私の体験も情報のひとつとして誰かの参考になればいいかなと。
──がんが見つかった時、どんなお気持ちでしたか。
内田 私の周りの大腸がん経験者は、治療がうまくいっていた方が多かったので、私も「大腸だからダイチョウブ! 死ぬようながんじゃないと思う」とずいぶん簡単に言っていました。でも、私の好きだった女優の坂口良子さんも大腸がんで亡くなられていますし、女性のがん部位別では大腸がんが死因の1位だと後から聞き、私は本当に運がよかったんだ、と思いました。
──がんと診断された時よりも、人工肛門(ストーマ)をつけると言われた時の方がショックだったとお聞きしました。
内田 そこは考えていなかったので、ビックリしました。ストーマについての知識ももちろんなくて、部分サイボーグみたいなイメージを持っていたんです。お腹につけるというのも知らなかったので、「硬いものを部分的にお尻につけるのかな」なんて思っていて、ストーマをつけた自分やその後の生活が想像できず、だいぶ悩みました。